結論:子犬は生後3〜4か月ごろから乳歯が抜け始め、前歯などから永久歯へ替わり、6〜7か月ごろまでに多くの犬で永久歯がそろいます。歯の時期や順序には個体差があります[1][2]。
抜けた歯が見当たらなくても:乳歯は食事中などに飲み込まれ、飼い主が見つけないことがあります。口の中を無理に探らず、食べ方や元気もあわせて見ましょう[3]。
受診を相談するサイン:永久歯と乳歯が同じ場所に並んで見える、噛み合わせが気になる、出血や食べにくさが続く場合は、歯を自分で抜かず動物病院に相談してください[4][5]。
子犬の歯が床に落ちていた。食べている様子はいつも通りなのに、口を見ても抜けた場所が分からない。小さな変化でも「この時期に抜けるのは普通?」「永久歯が出ているのに乳歯も残っている」と不安になりますよね。
こんにちは、イヌラバ博士です。私は獣医師ではありません。この記事では、Merck Veterinary Manual、VCA Animal Hospitals、米国農務省の資料で確認できる発育時期をもとに、乳歯から永久歯へ替わる流れを整理します。個々の歯を診断したり、処置を指示したりする内容ではありません。
先に知っておきたいのは、生え変わりを月齢だけで判定できないことです。順番にも幅があり、抜けた歯を飲み込んで見つからないこともあります。日々の観察は大切ですが、口をこじ開けたり、ぐらつく歯を引っぱったりする必要はありません。
乳歯が抜け始めるのは、成長の途中
犬は乳歯と永久歯の二組の歯を持ちます。子犬の乳歯は通常28本、成犬の永久歯は42本です。乳歯は生後数週間で生え始め、永久歯は数か月後に出てきます。永久歯の成長にともない、乳歯の根が吸収され、乳歯が抜けていくのが一般的な流れです[1][3]。
目安を表にまとめます。資料ごとに幅の示し方が異なるため、日付のように一日単位で受け取らず、前後する発育の範囲として見てください。
| 時期の目安 | 口の中で起きること | 家庭での見方 |
|---|---|---|
| 生後3〜6週ごろ | 乳歯が歯ぐきから生えてくる時期です。Merckは切歯・犬歯・前臼歯の萌出時期をそれぞれの週齢幅で示しています。 | この時期に歯の数だけで月齢を決めないでください。成長や資料に幅があります[2][3]。 |
| 生後6〜8週ごろ | 乳歯28本がそろう目安です。歯の種類ごとの萌出時期には幅があります[1][2]。 | 迎えた時期や健康診断で歯を確認する際は、月齢情報と一緒に獣医師へ伝えます。 |
| 生後3.5〜4か月ごろ | 永久歯が生え始め、乳歯との交換が始まります。切歯など前方の歯から変化に気づくことがあります。 | 口元を短く眺め、左右や上下で同じ場所に歯が重なって見えないか確認します。口を押さえつけません[3][4]。 |
| 生後4〜7か月ごろ | 永久歯が順に生え、犬種や個体によって時期に幅があります。 | 抜けた歯が見つからない場合だけで、異常とは判断できません。食べ方や口元の変化も見ます[1][2]。 |
| 生後6〜7か月ごろ | 多くの犬で永久歯がそろう目安です。Merckは7か月齢までに全永久歯が存在すると記載しています。 | 乳歯と永久歯が同じ場所に残っているようなら、写真を撮り、動物病院へ相談します[1][4]。 |
「4か月になったから必ず抜ける」「7か月の誕生日を過ぎたらすべて問題」と単純には言えません。表は観察の目安です。歯の出方にはばらつきがあり、永久歯が見え始める時期にも個体差があります。気になる歯がある時は、月齢だけで結論を出さず、口の中の様子を専門家に見てもらいましょう。
生え変わりの順番は、一本ずつ決めつけない
飼い主が気づきやすいのは、前歯のすき間や小さな乳歯が落ちている場面です。永久歯は切歯、犬歯、前臼歯、臼歯など複数の種類がそれぞれの時期に生えます。Merckの表も歯の種類ごとに平均的な萌出時期を示し、幅があることを注記しています[2]。
検索結果や飼育記事で「この順番」とひと続きに説明されていても、全ての子犬に同じ日程が当てはまるわけではありません。左右の歯が同時に抜けるとは限らず、同じ犬種でも違いが出ます。順序を暗記することより、永久歯が出てきた時に乳歯が残っていないか、食べづらそうでないかを静かに見る方が役立ちます。
たとえば、前歯が抜けてから犬歯が目立つまで少し間が空いても、それだけで発育の異常とは判断できません。一方、永久歯が見えている隣に細く尖った乳歯も同じ位置に残っているようなら、単なる「順番の遅れ」と片づけず獣医師に相談します。歯並びや口の中は、外から見た月齢だけでは判断できないためです[4]。
よくある「抜けた歯がない」は、歯が抜けていない証拠ではありません
乳歯は小さく、食事や遊びの最中に抜けて気づかれないことがあります。飲み込まれた乳歯が通常は便と一緒に出る場合もあり、毎本集める必要はありません[3]。ただし、何かを飲み込んだ後に吐く、苦しそうにする、食べられないなどの異変があれば、歯の生え変わりと決めつけず動物病院へ連絡してください。
乳歯と永久歯が同じ場所に見えたら
永久歯が生えてきても乳歯が抜けず、同じ部位に二本並んで見える状態は、乳歯遺残と呼ばれることがあります。VCAは、乳歯が残ると歯の位置がずれたり、歯の間に食べ物がたまりやすくなったりする可能性を説明しています。小型犬や短頭種で見られやすいとも記していますが、どの犬にも起こる可能性があります[4]。
家庭でできるのは、「二本並んでいるように見える」「いつから気になったか」「食事や口元の触られ方に変化があるか」を記録し、獣医師に伝えることです。乳歯か永久歯か分からない時も、写真を撮れる範囲で残せば説明の助けになります。判断のために、嫌がる犬の口を無理に開く必要はありません。
乳歯が少し動くように見えても、指や器具で抜こうとしないでください。見える部分だけでは根の状態や永久歯の位置を確かめられず、自宅で力を加えるのは安全な確認方法ではありません。歯科処置が必要かどうか、いつ行うかは診察で決まります。この記事から抜歯の要否や時期を決めることはできません。
早めに動物病院へ相談したい変化
- 同じ場所に乳歯と永久歯が二本並ぶように見える
- 口を閉じにくそう、噛み合わせが急に変わったように見える
- 食べ物を落とす、食べる速度や食べ方が急に変わる
- 出血が続く、歯ぐきが腫れている、触れなくても痛がる様子がある
- 口元の異変に加えて、元気や食欲も落ちている
呼吸が苦しそう、口から多量に出血して止まらない、ぐったりしている場合は、通常の歯科相談を待たず、かかりつけまたは救急対応の動物病院へ電話してください。
家庭での口元チェックは、短く穏やかに
子犬の歯を確認する時は、眠そうな時や落ち着いている時に、口元を外から見る程度から始めます。犬が自分から顔を近づけた時に、唇が上がった瞬間を短く観察しても構いません。確認のために口を何度も開けたり、あごを強く持ったりするのは避けましょう。
- 見た日と月齢
- 前歯・犬歯など、気になった場所
- 乳歯と永久歯が並んで見えるか
- 食べ方、口元を気にする行動、出血の有無
- 自然に撮れた写真。口を開けるために無理をしない
この記録は飼い主が診断するためではなく、動物病院で状況を共有するためのメモです。毎日口を撮影する必要はありません。気になる変化を見つけた時に一枚残し、診察時に「いつからそう見えるか」と合わせて伝えます。
歯ブラシを使う練習や歯みがきの方法は、生え変わり時期の歯の順序とは別のテーマです。口を触る練習中に急に嫌がる、よだれや出血がある時は、歯みがきを続けるより先に獣医師へ相談してください。歯ブラシを突然嫌がる理由や口腔内の観察は、犬が歯ブラシを嫌がる時の口腔トラブル記事も参考になります。
受診の目安は、月齢と口の様子を一緒に伝える
子犬の予防接種や健康診断で動物病院を訪れる時は、歯の生え変わりが気になっていることも伝えてください。特に、永久歯が出たのに乳歯が残っている、上下の歯が当たっているように見える、食べにくそうといった点は、診察時に確認してもらえます。
歯が見当たらないだけで食欲も元気も普段通りなら、見つからない乳歯を探し続ける必要はありません。次回の診察で「この月齢で前歯が抜け始めたようです」「右の犬歯の横にもう一本あります」と具体的に伝えれば、個体の口の中を見た上で説明を受けられます。
相談前のメモは、分かる範囲で十分です。誕生日が確定しているか推定か、歯の変化に気づいた日、場所、食事の様子を一行ずつ書いておきます。保護や譲渡で正確な月齢が分からない場合は、「迎えた日」と「その時に聞いた月齢」を分けて伝えましょう。歯だけから誕生日を確定できるわけではありません[1][5]。
写真を残すなら、犬が落ち着いている時に自然に見えた範囲を一枚撮る程度で構いません。口を開けるために押さえたり、歯を指で動かしたりしないでください。病院では「同じ場所に二本見えるか」「次の健診まで待ってよいか」「食べ方の変化も診てもらえるか」のように、気になっている点をそのまま質問できます。写真が撮れなかった場合も、場所や気づいた時期を伝えれば相談の助けになります。
反対に、歯のこと以外に食べない、口を触ると強く痛がる、顔が腫れる、出血が続くといった変化があれば、生え変わりの一般的な範囲として様子見を続けないでください。この記事の情報だけで原因や緊急度を判断せず、動物病院へ連絡しましょう。
よくある質問
Q. 子犬の歯は何か月ごろから抜け始めますか?
A. おおむね生後3.5〜4か月ごろに永久歯が生え始め、乳歯との交換が進みます。永久歯がそろう目安は6〜7か月ごろですが、歯の種類や個体により幅があります[1][3]。
Q. 抜けた乳歯を見つけられなくても大丈夫ですか?
A. 見つからないことはあります。食事中などに抜け、飲み込まれて飼い主が気づかない場合もあるとVCAは説明しています。歯が見つからないだけで異常とは判断せず、食べ方や口元の変化を見てください[3]。
Q. 生後6か月で乳歯が残っていたら、すぐ抜くべきですか?
A. 月齢だけで抜歯の要否や時期は決められません。ただし、永久歯と乳歯が同じ位置に並んでいるように見える場合は、歯を引っぱらず動物病院で確認を受けてください[4][5]。
Q. 歯が抜ける時に血がついていたら受診が必要ですか?
A. 生え変わりの際にごく少量の赤みが見られる場合はありますが、出血が続く、多い、痛がる、食べられないなどの変化があれば動物病院へ相談します。出血を歯の生え変わりだけのせいと決めつけないでください[3]。
Q. ぐらぐらする乳歯を家で抜いてもよいですか?
A. 抜かないでください。外から見えない根や永久歯の位置があり、自宅では状態を確認できません。乳歯が残る、噛みにくそうなどの時は、写真や気づいた日を記録して獣医師に相談します[4][5]。
飼い主の声
(仮想例・北海道・30代)「床に小さな歯が落ちていて、全部集めないといけないのかと思っていました。見つからない歯もあると知り、食べ方や口元の変化を一緒に見ることにしました。」
(仮想例・福岡県・40代)「前歯が抜けて安心した後、犬歯の横にもう一本あるように見えました。引っぱって確かめず、写真と月齢をメモして次の診察で見てもらうことにしました。」
まとめ
年齢の数字より、口元の変化を伝えましょう。 子犬の乳歯は生後数週間で生え、数か月後から永久歯へ替わっていきます。多くの犬で6〜7か月ごろまでに永久歯がそろうのが目安ですが、歯の種類や個体によって前後します。抜けた歯を見つけられなくても、それだけで異常とは限りません。
永久歯と乳歯が同じ場所に並ぶ、食べにくそう、出血や痛がる様子が続く場合は、家庭で歯を抜かず獣医師へ相談してください。月齢、気づいた日、歯の場所、食べ方を短く記録するだけでも、説明しやすくなります。急がず、気になる変化を一つずつ確認していきましょう。
本記事はイヌラバ博士が監修した一般情報であり、個別の診断や治療に替わるものではありません。
愛犬に異常が見られた場合は、必ず獣医師へご相談ください。
当サイトおよび執筆者は、本記事の情報利用によって生じたいかなる損害についても一切の責任を負いかねます。
