# シニア犬が一度鳴き始めると止まらないときのストレスと認知症の境界線

> シニア犬の夜間の吠えは、単なる老化現象ではなく認知機能不全症候群（CDS）の可能性があります。

- 正規URL: https://inulova.com/post/senior-ken-naki-tomaru-nai
- 公開日: 2025-06-06
- 最終更新日: 2025-07-02
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 愛犬のケア・しつけ、シニア犬について

シニア犬の夜間の吠えは、単なる老化現象ではなく認知機能不全症候群（CDS）の可能性があります。

            11〜12歳の犬の28％、15〜16歳の犬の68％が認知症の兆候を示すという研究データがあります。

            DISHAAツールによる評価で、ストレスによる一時的な症状なのか、認知症による持続的な変化なのかを見極めることができます。

        

        深夜2時。静まり返った住宅街に響く「ワンワンワン」という愛犬の声。15年間動物病院で働いてきた私は、この悩みを抱える飼い主さんを数え切れないほど見てきました。「もう3時間も鳴き続けているんです」と、目の下にクマを作った飼い主さんの表情は今でも忘れません。

        ## 不安と混乱の狭間で―シニア犬の心の叫び

        シニア犬が鳴き続ける行動には、必ず理由があります。それは単純な「わがまま」ではありません。2019年の東林間動物病院での勤務時、13歳のゴールデンレトリバーのケースが印象的でした。夜になると決まって玄関前で鳴き始め、まるで誰かを呼んでいるような切実な声。

        飼い主の田中さんは「散歩の要求かと思って連れ出すんですが、外に出ても鳴き続けるんです」と困惑していました。実は、この行動こそが認知症の典型的な症状だったのです。

        認知機能不全症候群（CDS）は、11〜12歳の犬の28％、15〜16歳では68％に何らかの兆候が見られることが、アメリカ獣医学会誌に掲載された研究で明らかになっています[1]。とはいえ、すべての鳴き声が認知症を意味するわけではありません。ストレスや不安、身体的な不快感が原因のこともあるのです。

        ## 見逃されがちな初期サイン―境界線を見極める

        では、ストレスによる一時的な行動と認知症による持続的な変化をどう見分ければよいでしょうか。

        最も重要なのは「パターンの変化」です。2020年の秋、相模原市の動物病院で出会った柴犬のハナちゃん（14歳）のケースを思い出します。最初は雷の日だけ鳴いていたのが、次第に風の音でも、そして最後には何もない静かな夜でも鳴くようになりました。

        
            #### ストレスと認知症の違いを示す5つのサイン

            
                - きっかけの有無：ストレスには明確な引き金（雷、来客、環境変化）がありますが、認知症では理由なく始まります

                - 持続時間：ストレスは原因が解消されれば収まりますが、認知症では何時間も続きます

                - 時間帯：認知症では特に夕方から夜間に症状が悪化する「サンダウナー症候群」が見られます

                - 反応性：ストレスの場合は飼い主の声かけで落ち着くことがありますが、認知症では反応が鈍くなります

                - 他の症状：認知症では方向感覚の喪失、トイレの失敗、睡眠パターンの変化も伴います

            

        

        ふと気づけば、愛犬の行動に「あれ？」と思うことが増えていませんか。部屋の隅で立ち尽くしたり、いつもの散歩コースで迷ったり。これらも重要なサインです。

        ## 科学的アプローチ―DISHAAツールで評価する

        獣医行動学の世界では、「DISHAA」という評価ツールが広く使われています。これは認知症の症状を6つのカテゴリーに分類したもので、2012年にLandsberg博士らが提唱しました[2]。

        D（Disorientation：見当識障害）

        I（Interactions：社会的相互作用の変化）

        S（Sleep-wake cycles：睡眠覚醒サイクルの変化）

        H（House soiling：不適切な排泄）

        A（Activity：活動性の変化）

        A（Anxiety：不安の増加）

        実際の診察では、この6項目それぞれについて詳しく聞き取りをします。2021年の川口市での症例では、15歳のトイプードルが「I」と「S」と「A（不安）」の3項目で顕著な変化を示していました。夜間の鳴き声は「S」の一部として評価されます。

        興味深いことに、複数の項目で変化が見られる場合、認知症の可能性が高まります。さて、ここで重要な統計があります。獣医師による認知症の診断率はわずか1.9％ですが、実際の有病率は14.2％にも上るという報告があるのです[3]。つまり、多くのケースが見逃されているということ。

        ### 夜を支配する不安―サンダウナー症候群の実態

        「サンダウナー症候群」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。人間のアルツハイマー病でも見られる現象で、夕方から夜にかけて症状が悪化することを指します。

        犬の場合、日中は比較的落ち着いているのに、薄暗くなると急に不安になり、鳴き始めることがあります。2018年の横浜での経験ですが、ビーグルのマロン（13歳）は毎日午後5時になると、まるで時計を見ているかのように鳴き始めました。カーテンを閉めて部屋を明るくしても、その行動は変わりませんでした。

        なぜ夜間に症状が悪化するのか。正確なメカニズムは解明されていませんが、体内時計の乱れ、視覚・聴覚の低下による不安の増大、メラトニンなどのホルモン分泌の変化が関与していると考えられています。実のところ、高齢犬の50％以上がこの症候群を経験するという報告もあります。

        ## 今日から始められる対処法―環境と心のケア

        では、愛犬が鳴き続けるとき、私たちには何ができるでしょうか。15年の経験から、効果的だった方法をご紹介します。

        ### 環境の最適化で安心感を

        まず大切なのは、愛犬にとって「予測可能な環境」を作ることです。家具の配置を変えない、決まった時間に食事を与える、散歩のルートを固定するなど、日常生活のルーティンを守ることが重要です。

        2022年の府中市での症例では、認知症と診断された16歳のシーズーに対して、以下の環境調整を行いました：

        
        
            - 夜間照明の設置（薄明かりで不安を軽減）

            - ラジオの使用（人の声や音楽で安心感を提供）

            - 寝床の工夫（四方を囲まれた安全な場所）

            - 芳香療法（ラベンダーの香りでリラックス効果）

        

        驚くことに、これらの単純な変更だけで、夜間の鳴き声が3時間から30分程度に減少したのです。

        ### 薬物療法と栄養管理の可能性

        環境調整だけでは改善が見られない場合、獣医師と相談の上、薬物療法を検討することもあります。セレギリン（商品名：アニプリル）は、脳内のドーパミンレベルを増加させ、認知機能の改善に効果があることが示されています[4]。

        また、栄養面でのアプローチも重要です。中鎖脂肪酸（MCT）を含む特別療法食は、脳のエネルギー代謝を改善し、認知機能の低下を遅らせる可能性があります。抗酸化物質（ビタミンE、C）やオメガ3脂肪酸の補給も推奨されています。

        
            ### ⚠️ 注意：専門家への相談を

            薬物療法や栄養療法を始める前に、必ず獣医師の診察を受けてください。他の疾患（甲状腺機能低下症、脳腫瘍など）が原因の可能性もあるため、適切な検査が必要です。

        

        ## 希望を持って歩む道―共に過ごす時間を大切に

        認知症は進行性の疾患ですが、決して絶望的ではありません。適切な管理により、愛犬との質の高い時間を長く保つことができます。

        私が忘れられないのは、2023年春に出会った18歳のミニチュアダックスフンド、チョコちゃんです。重度の認知症でしたが、飼い主の献身的なケアにより、最期まで穏やかな日々を送りました。「大変だけど、この子と過ごせる時間は宝物です」という飼い主さんの言葉が心に残っています。

        もしあなたの愛犬が夜中に鳴き続けているなら、それは助けを求めるサインかもしれません。ストレスなのか、認知症なのか。その境界線を見極めることは簡単ではありませんが、愛情深い観察と適切な医療サポートがあれば、必ず道は開けます。

        明日の朝、愛犬の瞳をじっと見つめてみてください。そこにはまだ、あなたへの深い愛情が宿っているはずです。その絆を大切に、一日一日を共に歩んでいきましょう。

        ## よくあるご質問（FAQ）

        
            Q1. うちの犬は12歳ですが、最近夜中に鳴くようになりました。すぐに認知症を疑うべきですか？
            必ずしもすぐに認知症を疑う必要はありません。まず、身体的な不快感（関節炎、歯の痛み、膀胱炎など）がないか獣医師に診てもらいましょう。環境の変化（引っ越し、家族構成の変化）やストレス要因も確認が必要です。DISHAAツールの複数項目で変化が見られる場合は、認知症の可能性が高まります。

        

        
            Q2. 認知症と診断されたら、どのくらいの期間一緒に過ごせますか？
            認知症の進行速度は個体差が大きく、一概には言えません。早期に診断し、適切な治療と管理を行えば、数年間は良好な生活の質を維持できることが多いです。私の経験では、診断後2〜3年は比較的安定した状態を保てるケースが多く見られました。重要なのは、定期的な獣医師のチェックと、症状に応じた管理方法の調整です。

        

        
            Q3. 夜間の鳴き声で近所迷惑になっています。どうすればいいですか？
            まず、ご近所への説明と理解を求めることをお勧めします。次に、以下の対策を試してください：1）防音対策（窓を二重にする、防音カーテンの使用）、2）寝室を家の中心部に移動、3）ホワイトノイズマシンの使用、4）獣医師と相談の上、短期的に抗不安薬の使用を検討。長期的には、日中の活動量を増やし、夜間の睡眠を促すことも効果的です。

        

        
            Q4. サプリメントは本当に効果がありますか？
            科学的根拠のあるサプリメントもあります。例えば、S-アデノシルメチオニン（SAMe）、イチョウ葉エキス、中鎖脂肪酸（MCT）などは、複数の研究で認知機能への良い影響が報告されています。ただし、効果には個体差があり、すべての犬に同じように効くわけではありません。必ず獣医師に相談の上、使用してください。

        

        
            Q5. ストレスが原因の場合、どんな対処法がありますか？
            ストレスの原因を特定し、可能な限り取り除くことが第一です。環境エンリッチメント（知育玩具、嗅覚を使った遊び）、規則正しい運動、マッサージやTタッチなどのリラクゼーション技法が効果的です。また、DAP（Dog Appeasing Pheromone）カラーやディフューザーの使用、雷恐怖症には脱感作療法も検討できます。重度の場合は、認定行動学専門医への相談をお勧めします。

        

        
            ## 飼い主の声

            
            
                「15歳のコーギー、ルナが夜中に鳴き始めたとき、最初は無視していました。でも、イヌラバ博士の記事を読んで認知症の可能性に気づき、すぐに動物病院へ。DISHAAの評価で4項目に該当し、早期治療を開始できました。今は薬と環境調整で、以前より落ち着いて過ごせています。早めに気づけて本当によかったです。」

                ― 埼玉県在住 M.K.さん（42歳）
            

            
                「うちのゴールデンレトリバー（13歳）は、引っ越し後から夜鳴きが始まりました。認知症かと心配しましたが、検査の結果、環境変化によるストレスが原因でした。以前の家の匂いがついたブランケットを置き、散歩コースを工夫したところ、2週間ほどで改善。ストレスと認知症の見分け方を知っていて助かりました。」

                ― 神奈川県在住 T.S.さん（58歳）
            
        

        
            ## 参考文献

            
                - Neilson JC, Hart BL, Cliff KD, Ruehl WW. Prevalence of behavioral changes associated with age-related cognitive impairment in dogs. J Am Vet Med Assoc. 2001 Jun 1;218(11):1787-91. doi: 10.2460/javma.2001.218.1787. PMID: 11394831

                - Landsberg GM, Nichol J, Araujo JA. Cognitive dysfunction syndrome: a disease of canine and feline brain aging. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2012 Jul;42(4):749-68. doi: 10.1016/j.cvsm.2012.04.003. PMID: 22720812

                - Salvin HE, McGreevy PD, Sachdev PS, Valenzuela MJ. Under diagnosis of canine cognitive dysfunction: a cross-sectional survey of older companion dogs. Vet J. 2010 Jun;184(3):277-81. doi: 10.1016/j.tvjl.2009.11.007. PMID: 20005753

                - Dewey CW, Davies ES, Wakshlag JJ. Canine Cognitive Dysfunction: Pathophysiology, Diagnosis, and Treatment. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2019 May;49(3):477-499. doi: 10.1016/j.cvsm.2019.01.013. PMID: 30846385

            

        

        
            本記事はイヌラバ博士が編集した一般情報であり、個別の診断や治療に替わるものではありません。

            愛犬に異常が見られた場合は、必ず獣医師へご相談ください。

            当サイトおよび執筆者は、本記事の情報利用によって生じたいかなる損害についても一切の責任を負いかねます。

---

本記事は一般的な情報提供であり、獣医師による診断・医療行為に代わるものではありません。急な悪化や強い異常がある場合は動物病院へ相談してください。
