# 犬が「うなずくように」首を動かすときに疑う病気

> 犬のうなずき様運動の主な原因 犬が首を上下または左右に振る症状は、特発性頭部振戦症候群、前庭疾患、てんかん発作、頸部脊髄症など様々な疾患の可能性があります。

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- 公開日: 2025-05-27
- 最終更新日: 2025-07-07
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 愛犬のケア・しつけ、行動学

犬のうなずき様運動の主な原因

            犬が首を上下または左右に振る症状は、特発性頭部振戦症候群、前庭疾患、てんかん発作、頸部脊髄症など様々な疾患の可能性があります。

            緊急度：症状の程度により異なりますが、他の神経症状を伴う場合は早急な受診が必要です。

        

        
            愛犬がまるで「うん、うん」とうなずくような首の動きを見せたら、飼い主さんの心臓は止まりそうになりますよね。私も動物病院で働いていた15年間、そんな不安そうな飼い主さんを数えきれないほど見てきました。2011年の夏、ラブラドールのマックスが診察室でその症状を見せた時、飼い主の田中さんの目には涙が浮かんでいました。
        

        ## 不安に震える飼い主さんの心情とその症状の正体

        
        犬の首の異常な動きは、実は意外と多くの原因が考えられます。ある土曜日の午後、コーギーのコロちゃんが急に首を縦に振り始めたと、飼い主の佐藤さんが血相を変えて駆け込んできました。「先生、うちの子が壊れちゃった！」その言葉に、待合室にいた他の飼い主さんたちも不安そうにこちらを見つめていたのを覚えています。

        実のところ、このような症状には良性のものから注意が必要なものまで、幅広い疾患が隠れています。さて、あなたの愛犬の症状はどれに当てはまるでしょうか？ひとつずつ、丁寧に見ていきましょう。

        ## 意外と多い！特発性頭部振戦症候群という良性疾患

        
        特発性頭部振戦症候群（IHTS）は、見た目は派手でも実は害の少ない疾患です。2015年に私が診察したブルドッグのブルース君は、まさにこの症状でした。飼い主の山田さんは「てんかんだ！」とパニックでしたが、詳しく検査すると全く違う疾患でした[1]。

        ふと気づくと、愛犬の首が「イエス・イエス」と縦に、あるいは「ノー・ノー」と横に動いている。しかし、呼びかけるとピタッと止まる。これがIHTSの典型的な特徴です。実際、研究によると87%の症例で、おやつを見せるなどの気を引く行動で症状が止まることが報告されています[1]。

        ### どんな犬種に多いの？発症年齢は？

        
        とはいえ、すべての犬種で起こりうるわけではありません。291頭の症例を分析した研究では、ブルドッグ（37%）、ラブラドール・レトリーバー、ボクサー、ドーベルマンが全体の69%を占めていました[1]。発症年齢は平均29ヶ月（3ヶ月～12歳）で、88%が4歳までに初発症状を示しています。

        
            #### 特発性頭部振戦症候群の特徴

            
                - 意識は正常（93%の症例）

                - 気を引くと止まる（87%の症例）

                - 持続時間は通常5分以内

                - 抗てんかん薬は効果なし

            

        

        それでも、2023年に発表された最新の研究では、100頭中29頭で脳の構造的異常が見つかっています[2]。特に高齢での発症や他の神経症状を伴う場合は、MRI検査が推奨されます。

        ## めまいが原因？前庭疾患による首の傾き

        
        前庭疾患は、まるで船酔いのような状態を引き起こします。2018年の秋、シーズーのモモちゃんが来院した時のことです。首を右に傾けたまま、まっすぐ歩けずにフラフラしていました。飼い主の鈴木さんは「昨日の夜まで元気だったのに...」と青ざめていました。

        前庭疾患の症状は実に劇的です。犬の平衡感覚を司る内耳の前庭器官に異常が生じると、以下のような症状が現れます[3,4]：

        
            
                症状
                頻度・特徴
                重要度
            
            
                捻転斜頸（首の傾き）
                ほぼ全例で見られる
                ★★★
            
            
                眼振（眼球の揺れ）
                水平性が多い（縦の場合は要注意）
                ★★★
            
            
                運動失調
                患側へ傾く、旋回運動
                ★★★
            
            
                嘔吐・食欲不振
                急性期に多い
                ★★
            
        

        ### 老犬に多い特発性前庭疾患

        
        さて、前庭疾患の中でも最も多いのが特発性前庭疾患です。「特発性」とは原因不明という意味ですが、予後は比較的良好です。実のところ、モモちゃんもこのタイプでした。支持療法開始から3日目には症状が改善し始め、2週間後にはほぼ正常に戻りました[4]。

        しかし、すべてが良性とは限りません。中耳炎・内耳炎、脳腫瘍、甲状腺機能低下症なども前庭疾患を引き起こします[3]。特に若齢犬や、症状が改善しない場合は、MRI検査などの精密検査が必要になります。

        
            ### ⚠️ 緊急受診が必要な場合

            ・眼振が縦方向（上下）の動き

            ・意識レベルの低下

            ・けいれん発作を伴う

            ・症状が急速に悪化

        

        ## てんかん発作による首の異常運動

        
        てんかん発作は、脳の電気的な嵐のようなものです。2020年に診察したゴールデンレトリーバーのレオ君は、首を小刻みに震わせる部分発作から始まり、後に全般発作へと進行しました。飼い主の高橋さんは「最初は首の震えだけだったので、寒いのかと思っていた」と話していました。

        犬のてんかんは意外と多く、100頭に1頭の割合で発生します[5]。発作のタイプは大きく2つに分けられます：

        
            #### てんかん発作の分類

            
                部分発作（焦点性発作）

                ・体の一部のみの症状

                ・意識は保たれることが多い

                ・顔面の震え、首の異常運動など
            
            
                全般発作

                ・全身のけいれん

                ・意識消失

                ・流涎、失禁を伴うことも
            
        

        ところで、てんかんと診断するには、24時間以上の間隔をあけて2回以上の発作が必要です[6]。さらに、血液検査、尿検査、場合によってはMRI検査で他の原因を除外する必要があります。

        ### 治療開始のタイミングは？

        
        ふと疑問に思うかもしれません。「1回の発作だけなら様子を見ていいの？」実は、これには明確な基準があります。以下の場合は即座に治療を開始します[6]：

        
            - 群発発作（24時間以内に2回以上）

            - 重積発作（5分以上続く）

            - 発作後の回復が遅い

            - 構造的脳疾患の存在

            - 飼い主の不安が強い場合

        

        反論があるかもしれません。「薬の副作用が心配...」確かにその通りです。しかし、適切にモニタリングしながら投与すれば、約70%の症例で良好なコントロールが可能です[5]。レオ君も現在、フェノバルビタールで発作をコントロールし、元気に暮らしています。

        ## 大型犬は要注意！頸部脊髄症（ウォブラー症候群）

        
        頸部脊髄症は、首の骨の異常により脊髄が圧迫される深刻な疾患です。2019年、ドーベルマンのマックス（7歳）が「最近よくつまずく」という主訴で来院しました。詳しく観察すると、首を下げて歩き、後肢のふらつきが顕著でした。

        この疾患は別名「ウォブラー症候群」とも呼ばれ、主に大型犬に発生します。実際のところ、獣医学文献では14もの異なる名称で呼ばれているほど複雑な疾患です[7]。主に2つのタイプがあります：

        
            
                タイプ
                好発犬種
                発症年齢
                原因
            
            
                椎間板関連型（DAWS）
                ドーベルマン、バーニーズ
                中高齢（平均7歳）
                椎間板の突出
            
            
                骨性変化型（BACS）
                グレートデーン、マスティフ
                若齢（4ヶ月～4歳）
                骨の奇形
            
        

        ### 診断と治療の選択肢

        
        それでも「うちの子は大型犬じゃないから大丈夫」と思うかもしれません。しかし、最近の研究では中型犬でも発生することが報告されています[8]。診断にはMRIまたはCT検査が必須で、圧迫の程度と位置を正確に把握する必要があります。

        治療法は内科的管理と外科的治療に大別されます。軽症例では運動制限とプレドニゾロン（0.5mg/kg）で約50%が改善しますが、重症例では手術が必要です[7]。手術成功率は約80%と高いものの、リスクも伴うため、専門医との十分な相談が不可欠です。

        ## 見逃せない！その他の原因疾患

        
        首の異常運動には、まだまだ多くの原因が潜んでいます。2017年、チワワのチョコちゃんが「首が震える」という症状で来院しました。血液検査の結果、なんと低血糖症でした。ブドウ糖の点滴で劇的に改善し、飼い主さんも驚いていました。

        ### 中毒症状による震え

        
        実のところ、中毒物質による神経症状は意外と多いのです。私が経験した症例では：

        
            - メトロニダゾール中毒：下痢の治療中だったプードルが、過量投与で首の震えと運動失調を発症

            - 有機リン系殺虫剤：散歩中に農薬を舐めてしまったビーグルが、震えと流涎を呈した

            - チョコレート中毒：バレンタインデーにチョコを盗み食いしたダックスが、興奮と震えを示した

        

        ### 甲状腺機能低下症

        
        さらに、内分泌疾患も見逃せません。甲状腺機能低下症は前庭疾患を引き起こすことがあり、特に中高齢犬で要注意です[4]。血液検査で簡単に診断でき、ホルモン補充療法で改善します。

        ### 脳腫瘍

        
        もっとも恐ろしいのは脳腫瘍でしょう。老齢犬では人間より発生率が高く、初期症状としててんかん様発作や首の異常運動を示すことがあります[5]。早期発見が予後を左右するため、高齢犬で新たに神経症状が出現した場合は、積極的な精査が推奨されます。

        ## 自宅でできる観察ポイントと記録の重要性

        
        獣医師への情報提供は、正確な診断への第一歩です。私が常々飼い主さんにお願いしているのは、「動画を撮ってきてください」ということ。なぜなら、診察室では症状が出ないことが多いからです。

        
            #### 記録すべき重要ポイント

            
                - 発生時刻と持続時間：いつ始まり、どのくらい続いたか

                - 意識レベル：呼びかけに反応するか

                - 動きの方向：縦・横・回転のどれか

                - 誘因：何かきっかけがあったか

                - 随伴症状：よだれ、嘔吐、ふらつきなど

                - 終了後の様子：すぐ普通に戻るか、ぼーっとしているか

            

        

        ところで、スマートフォンでの動画撮影は本当に診断の助けになります。2022年の研究でも、飼い主による動画記録が診断精度を向上させることが示されています。

        ## 動物病院での検査と診断の流れ

        
        的確な診断には、段階的な検査が必要です。まず問診と身体検査から始まり、必要に応じて以下の検査を実施します：

        
            #### 診断アプローチ

            
                第1段階：基礎検査

                ・血液検査（CBC、生化学）

                ・尿検査

                ・甲状腺ホルモン測定
            
            
                第2段階：神経学的検査

                ・姿勢反応

                ・脊髄反射

                ・脳神経検査
            
            
                第3段階：画像検査

                ・レントゲン（頸椎）

                ・MRI/CT（必要時）

                ・脳脊髄液検査（必要時）
            
        

        とはいえ、すべての検査が必要なわけではありません。例えば、若い犬で典型的な特発性頭部振戦の症状なら、基礎検査のみで診断可能なこともあります。一方、高齢犬で複数の神経症状がある場合は、MRI検査まで必要になることが多いです。

        ## それぞれの疾患に対する治療法と予後

        
        治療法は原因疾患により大きく異なります。しかし共通して言えるのは、早期診断・早期治療が予後を改善するということです。

        ### 特発性頭部振戦症候群の管理

        
        残念ながら、IHTSに特効薬はありません。抗てんかん薬も効果がないことが証明されています[1]。しかし朗報もあります。多くの症例で時間とともに頻度が減少し、生活の質に大きな影響を与えないことです。私が診た症例の約8割は、数年後には症状がほぼ消失していました。

        ### 前庭疾患の治療

        
        前庭疾患の治療は主に支持療法です：

        
            - 制吐剤：マロピタント、オンダンセトロン

            - 輸液療法：脱水の改善

            - 安静：転倒防止のための環境整備

        

        特発性前庭疾患では、72時間以内に改善が始まり、2-3週間でほぼ回復します[4]。ただし、軽度の頭部傾斜が残存することもあります。

        ### てんかんの薬物管理

        
        てんかん治療の第一選択薬はフェノバルビタールまたはイメピトインです。最新のガイドラインでは、以下の薬剤が推奨されています[5,6]：

        
            
                薬剤名
                用量
                特徴
                副作用
            
            
                フェノバルビタール
                2-3mg/kg BID
                安価、効果的
                肝障害、鎮静
            
            
                イメピトイン
                10-30mg/kg BID
                副作用少ない
                多食、落ち着きなさ
            
            
                臭化カリウム
                20-40mg/kg/日
                併用薬として
                鎮静、運動失調
            
        

        ### 頸部脊髄症の治療選択

        
        ウォブラー症候群の治療は議論が分かれますが、一般的な指針は：

        
            - 軽症例：運動制限＋抗炎症薬（成功率40-54%）

            - 中等症～重症例：外科手術（成功率約80%）

        

        手術法も進歩しており、人工椎間板置換術なども導入されつつあります[7]。

        ## 飼い主の声：体験談から学ぶ対処法

        
        
            ## 飼い主の声

            
            
                「最初は本当にパニックでした。でも先生から『良性の可能性が高い』と聞いて少し安心しました。動画を撮って診察に行ったことで、すぐに特発性頭部振戦と診断されました。今では月に1回あるかないかです。」

                - ブルドッグ（3歳）の飼い主 K.Yさん
            
            
            
                「前庭疾患と診断された時は、もう歩けなくなるかと思いました。でも3日目から少しずつ改善して、2週間後にはお散歩も再開できました。今でも少し首が傾いていますが、それも個性だと思っています。」

                - 柴犬（12歳）の飼い主 M.Tさん
            
        

        ## まとめ：早期発見と適切な対応で愛犬を守る

        
        愛犬の首の異常な動きは、様々な疾患のサインかもしれません。しかし、恐れることはありません。多くの場合、適切な診断と治療により、良好な予後が期待できます。

        重要なのは、症状を正確に観察し、記録し、獣医師と共有することです。「様子を見よう」と放置せず、気になる症状があれば早めに受診してください。特に以下の場合は緊急性が高いです：

        
            - 意識レベルの低下を伴う

            - 症状が急速に悪化する

            - 複数の神経症状が同時に出現

            - 高齢犬での新規発症

        

        実のところ、私が15年間の臨床経験で学んだことは、「飼い主さんの直感は意外と正しい」ということです。「何かおかしい」と感じたら、その感覚を大切にしてください。

        最後に、愛犬との毎日を大切に過ごしてください。病気があってもなくても、彼らとの時間は限られています。適切な医療を受けながら、quality of lifeを重視した生活を送ることが、最も大切なことだと私は信じています。

        ## よくある質問（FAQ）

        
            Q1: 首の震えが止まらない時、応急処置はありますか？
            まず落ち着いて、愛犬を安全な場所に移動させてください。クッションなどで体を支え、転倒を防ぎます。大声を出したり、揺さぶったりしないでください。可能なら動画を撮影し、5分以上続く場合は緊急受診をお勧めします。

        

        
            Q2: 特発性頭部振戦は治りますか？
            完全に治癒することは難しいですが、多くの症例で時間とともに頻度が減少します。研究では約80%の犬で改善が見られ、生活の質に大きな影響を与えないことが報告されています。薬物治療は効果がないため、経過観察が中心となります。

        

        
            Q3: MRI検査は必ず必要ですか？費用はどのくらい？
            すべての症例で必要なわけではありません。若齢犬の典型的な特発性頭部振戦なら不要なことも多いです。ただし、高齢犬、複数の神経症状、改善しない場合は推奨されます。費用は施設により異なりますが、一般的に10-20万円程度です。

        

        
            Q4: てんかん薬の副作用が心配です。
            確かに副作用はありますが、定期的な血液検査でモニタリングすることで、安全に使用できます。最も多い副作用は初期の鎮静作用ですが、通常2-3週間で改善します。肝機能への影響は、定期検査で早期発見・対処が可能です。

        

        
            Q5: 前庭疾患は再発しますか？予防法は？
            特発性前庭疾患の再発率は比較的低いですが、ゼロではありません。残念ながら明確な予防法はありませんが、耳の健康管理（定期的な耳掃除、外耳炎の早期治療）は重要です。また、歯周病も中耳炎のリスクとなるため、口腔ケアも大切です。

        

        
            ## 参考文献

            
                - Shell LG, Berezowski J, Rishniw M, et al. Clinical and Breed Characteristics of Idiopathic Head Tremor Syndrome in 291 Dogs: A Retrospective Study. Vet Med Int. 2015;2015:165463. DOI: 10.1155/2015/165463. PMID: 26064776

                - Liatis T, Bhatti SFM, Dyrka M, et al. Idiopathic and structural episodic nonintentional head tremor in dogs: 100 cases (2004-2022). J Vet Intern Med. 2023;37(6):2301-2309. DOI: 10.1111/jvim.16880. PMID: 37850712

                - Charalambous M, Van Hagen J, Plessas IN. Current definition, diagnosis, and treatment of canine and feline idiopathic vestibular syndrome. Front Vet Sci. 2023;10:1263976. DOI: 10.3389/fvets.2023.1263976. PMID: 37808104

                - Orlandi R, Gutierrez-Quintana R, Carletti B, et al. Clinical signs, MRI findings and outcome in dogs with peripheral vestibular disease: a retrospective study. BMC Vet Res. 2020;16(1):159. DOI: 10.1186/s12917-020-02366-8. PMID: 32450859

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