# 愛犬が耳の裏だけを掻き続けるときに見逃されやすい皮膚疾患

> 犬が耳の裏だけを執拗に掻く行動は、外耳炎以外の皮膚疾患の可能性があります。

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- 公開日: 2025-07-21
- 最終更新日: 2026-06-09
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 愛犬のケア・しつけ、かゆみ・皮膚トラブル

犬が耳の裏だけを執拗に掻く行動は、外耳炎以外の皮膚疾患の可能性があります。耳介内側の接触性皮膚炎、耳介脂漏症、耳介血管炎などは初期症状が似ているため見逃されやすく、適切な診断が遅れると慢性化のリスクがあります。早期発見と適切な治療により、多くの症例で良好な予後が期待できます。

        

        
            夜中、カリカリという音で目が覚めたら、愛犬が耳の裏を必死に掻いていた――そんな経験はありませんか。15年間動物病院で働いていた私が最も見逃しやすいと感じたのが、この「耳の裏だけ」の皮膚トラブルでした。実は2019年の秋、私が診察補助についた症例で、3軒の病院を転々とした末にようやく正確な診断にたどり着いたケースがあったのです。
        

        ## なぜ耳の裏の皮膚疾患は見逃されやすいのか

        
        耳の裏の皮膚疾患が見逃される最大の理由は、外耳炎と混同されやすいことです。実際、私が勤務していた動物病院でも、耳を掻く＝外耳炎という先入観から、耳道内ばかりを検査して耳介内側の皮膚病変を見落とすケースが少なくありませんでした。

        2021年に発表された英国での大規模疫学調査によると、外耳炎の有病率は7.30%であり[1]、耳の問題で来院する犬の大半は確かに外耳炎なのです。しかし、その陰に隠れて、耳介特有の皮膚疾患が見過ごされているのです。

        
            ### ⚠️ 重要な鑑別ポイント

            耳道内の炎症がないのに耳介内側だけが赤い、耳垢が少ないのに激しく掻く、片耳だけ症状が出ている場合は、外耳炎以外の疾患を疑う必要があります。

        

        ある時、シーズーの「モモちゃん」が来院しました。飼い主さんは「また外耳炎かしら」とおっしゃっていましたが、よく観察すると耳道内はきれいで、耳介の内側だけに赤みと落屑が。この違いに気づけるかどうかが、正確な診断への第一歩となります。

        ## 見逃されやすい3つの耳介皮膚疾患

        ### 1. 接触性皮膚炎――点耳薬が原因となることも

        接触性皮膚炎は、特定の物質に対するアレルギー反応で起こり、点耳薬使用開始から1〜7日後に発症することが多いです。MSD獣医マニュアルによると、耳介内側が赤く腫れ、小さな丘疹や痂皮を形成することが特徴的です[2]。

        私が経験した中で印象的だったのは、2018年春のゴールデンレトリーバーの症例でした。慢性外耳炎の治療で3種類の点耳薬を試していたところ、4つ目の薬剤に変更して5日目に突然、耳介全体が真っ赤に腫れ上がったのです。すべての外用薬を中止し、経口ステロイドで治療したところ、1週間で劇的に改善しました。

        とはいえ、すべての点耳薬が悪いわけではありません。問題は、多くの製品に含まれる共通の賦形剤（プロピレングリコールなど）にあることが多く、別の製品に変更しても改善しないケースがあるのです。

        ### 2. 耳介脂漏症――特定の犬種に多発する慢性疾患

        耳介脂漏症は、ダックスフンドやヨークシャーテリアに好発し、耳介辺縁に蝋様の灰色〜黄色の鱗屑が付着する疾患です。原因は不明ですが、皮脂分泌の異常が関与していると考えられています[3]。

        忘れもしない2020年の夏、12歳のダックスフンド「チョコ」が来院しました。飼い主さんは「耳の端っこがベタベタして臭い」と訴えていました。耳介辺縁を触ると、まるでロウソクのロウのような厚い鱗屑が。軽く引っ張ると、毛と一緒にごっそりと剥がれ落ち、下の皮膚はテカテカと光っていました。

        この疾患の厄介なところは、完治が困難で生涯にわたる管理が必要なことです。しかし適切なシャンプー療法と保湿剤の使用により、多くの症例でコントロール可能です。チョコの場合も、週2回のサリチル酸含有シャンプーとセラミド配合の保湿剤で、3ヶ月後にはかなり改善しました。

        ### 3. 耳介血管炎――見た目以上に深刻な全身疾患のサイン

        耳介血管炎は血管の炎症により起こり、耳介辺縁に「虫食い状」の潰瘍や壊死を生じる疾患です。チワワやダックスフンドに多く、薬剤反応、感染症、腫瘍などが原因となることがあります[4]。

        2019年の冬、私が最も衝撃を受けた症例がありました。8歳のチワワ「ポコ」の耳の端に、まるでパンチで穴を開けたような円形の欠損が。飼い主さんは「ケンカでもしたのかしら」と思っていたそうですが、反対側の耳にも同様の病変が出現し始めていました。

        血管炎の怖いところは、単なる皮膚の問題ではなく、全身性疾患の一症状である可能性があることです。ポコの場合も、詳しい検査の結果、免疫介在性疾患が背景にあることが判明しました。

        
            #### 早期発見のための観察ポイント

            ・耳介辺縁の色調変化（紫〜黒色）

            ・小さな点状出血や痂皮形成

            ・耳の形が変わってきた（組織欠損）

            ・両耳対称性に症状が出現

        

        ## 正確な診断へ導く検査と観察のコツ

        耳介皮膚疾患の診断で最も重要なのは、詳細な視診と触診です。私が15年間の経験で学んだのは、「耳を診る前に、まず全身を観察する」ということでした。

        例えば、2017年に診察補助についたフレンチブルドッグの症例では、耳の問題で来院したものの、よく見ると肘や腹部にも軽度の発赤が。これがアトピー性皮膚炎の診断につながりました。実際、外耳炎の原因として最も多いのはアレルギー性疾患で、100例中43例がアレルギー関連という報告もあります[5]。

        さて、具体的な検査方法ですが、以下の順序で進めることをお勧めします：

        
            - 両耳の比較観察：片側性か両側性かで鑑別が変わります

            - 耳介全体の触診：硬結、肥厚、温度差をチェック

            - 皮膚掻爬検査：特に疥癬の除外は必須です

            - 細胞診：細菌、真菌、炎症細胞の確認

            - 必要に応じて皮膚生検：血管炎や腫瘍の確定診断に

        

        ふと思い出すのは、ある雨の日の出来事。診察台の上で震えていたマルチーズの耳を観察していると、わずかな左右差に気づきました。右耳だけがほんの少し厚い。この微妙な違いから、片側性の接触性皮膚炎を疑い、使用中のイヤークリーナーを中止したところ、見事に改善したのです。

        ## 治療法の選択――疾患別アプローチの実際

        耳介皮膚疾患の治療は、正確な診断に基づいた疾患特異的なアプローチが成功の鍵となります。画一的な治療では改善が見込めないばかりか、悪化させることさえあります。

        ### 接触性皮膚炎の治療戦略

        まず何より重要なのは、原因物質の特定と除去です。しかし、これが思いのほか難しい。2018年に経験したヨークシャーテリアの症例では、点耳薬を中止しても改善せず、詳しく聞き取りをすると、飼い主さんが毎日使っていたハンドクリームが原因でした。愛犬を撫でる際に、耳に付着していたのです。

        急性期の治療には、短期間のステロイド療法が有効です。プレドニゾロン0.5〜1mg/kgを3〜5日間投与し、その後漸減します。局所療法は避け、全身投与を基本とします。

        ### 耳介脂漏症の長期管理

        この疾患は完治が困難なため、症状コントロールが治療の目標となります。週2〜3回の薬用シャンプー（サリチル酸、硫黄、過酸化ベンゾイル含有）が基本となりますが、シャンプーの選択には注意が必要です。

        実のところ、私が見てきた中で最も改善が顕著だったのは、フィトスフィンゴシン含有製品を使用した症例でした。2020年のダックスフンド「ララ」は、3ヶ月間の継続使用で、耳介辺縁の肥厚が半分以下に減少しました。

        ### 耳介血管炎の集学的治療

        血管炎の治療は、基礎疾患の管理が最優先です。免疫抑制療法（プレドニゾロン2mg/kg/日）から開始し、アザチオプリンやシクロスポリンの併用を検討します。2023年の報告では、早期治療により予後が大きく改善することが示されています[6]。

        局所的な管理も重要で、潰瘍部位の二次感染予防と創傷治癒促進が必要です。私の経験では、医療用蜂蜜（マヌカハニー）の外用が有効だった症例もありました。

        ## 飼い主さんができる予防と早期発見

        日常的な耳のチェックと適切なケアが、重篤な疾患の予防につながります。毎日のスキンシップの中で、以下の点を確認する習慣をつけてください。

        
            #### 毎日のチェックポイント

            1. 耳介内側の色（正常はピンク色）

            2. 臭いの有無（健康な耳は無臭）

            3. 掻く頻度と強さ

            4. 頭を振る回数

            5. 触った時の反応（痛がるかどうか）

        

        予防において特に重要なのは、過度な耳掃除を避けることです。2022年のコーネル大学の報告でも、過剰な洗浄が皮膚バリアを破壊し、二次的な問題を引き起こすことが指摘されています[7]。

        また、シャンプー後の耳の乾燥も忘れずに。湿った環境は細菌や真菌の温床となります。タオルで優しく水分を拭き取り、自然乾燥させることが大切です。

        ## まとめ――見逃さないための心得

        耳の裏だけを掻く行動は、単純な外耳炎ではない可能性を常に念頭に置くべきです。15年間の動物病院勤務で学んだ最も大切なことは、「思い込みを捨てて、目の前の症状をありのままに観察する」ということでした。

        接触性皮膚炎、耳介脂漏症、耳介血管炎――これらの疾患は、適切な診断と治療により管理可能です。しかし、見逃されたり誤診されたりすると、愛犬の生活の質を大きく損なうことになります。

        もし愛犬が耳の裏を執拗に掻いているなら、「いつもの外耳炎」と決めつけず、かかりつけの獣医師に詳しく相談してください。必要であれば、皮膚科専門医への紹介も検討しましょう。早期発見と適切な治療が、愛犬の快適な生活を守る第一歩となるのです。

        ## よくある質問（FAQ）

        
            Q1: 耳の裏を掻く行動と外耳炎の違いをどう見分ければいいですか？
            外耳炎の場合、通常は耳垢の増加、悪臭、耳道内の発赤や腫脹が見られます。一方、耳介の皮膚疾患では、耳道内は比較的きれいで、耳介内側や辺縁部のみに病変が限局します。また、頭を振る動作は外耳炎で多く、耳介疾患では後肢で掻く動作が中心となることが多いです。獣医師の診察時には、耳鏡検査で耳道内を確認してもらうことが重要です。

        

        
            Q2: 点耳薬で接触性皮膚炎を起こした場合、今後一切の点耳薬は使えないのでしょうか？
            必ずしもそうではありません。接触性皮膚炎の原因は、薬剤の主成分よりも賦形剤（プロピレングリコール、パラベンなど）であることが多いです。パッチテストや成分の異なる製剤への変更により、安全に使用できる点耳薬が見つかることもあります。ただし、再使用する際は必ず獣医師の指導の下で、少量から開始し、反応を観察しながら進めることが大切です。

        

        
            Q3: 耳介脂漏症は遺伝するのでしょうか？繁殖を考えている場合の注意点は？
            耳介脂漏症の正確な遺伝様式は解明されていませんが、ダックスフンドやコッカースパニエルなど特定の犬種に多発することから、遺伝的素因の関与が示唆されています。繁殖を考える場合は、両親犬の皮膚の状態を確認し、同じ疾患を持つ個体同士の交配は避けることが推奨されます。また、子犬の早期からの皮膚ケアにより、発症を遅らせたり症状を軽減できる可能性があります。

        

        
            Q4: 耳介血管炎の初期症状を見逃さないためのポイントは？
            初期症状として、耳介辺縁の軽度の発赤や点状出血、小さな痂皮形成が見られます。特に両耳対称性に症状が出現する場合は要注意です。また、耳介が冷たく感じる、紫がかった変色、耳の端が薄くなってきたなどの変化も重要なサインです。これらの症状を認めたら、早期に獣医師の診察を受け、必要に応じて皮膚生検などの精密検査を検討することが大切です。

        

        
            Q5: 複数の耳介疾患が併発することはありますか？その場合の対処法は？
            はい、併発することがあります。例えば、アトピー性皮膚炎の犬が二次的に接触性皮膚炎を起こしたり、慢性の耳介脂漏症に細菌感染が合併することもあります。このような複雑な症例では、それぞれの疾患に対する治療を優先順位をつけて行う必要があります。通常は、急性炎症の管理を優先し、その後基礎疾患の長期管理に移行します。皮膚科専門医への紹介も積極的に検討すべきでしょう。

        

        
            ## 飼い主の声

            
                「うちのダックスフンドは3年間も耳の問題で悩んでいました。いくつもの病院で『外耳炎』と診断され、点耳薬を使い続けていましたが、一向に良くならず...。最終的に皮膚科専門の先生に診ていただき、耳介脂漏症だとわかりました。今は週2回の薬用シャンプーで、見違えるほど改善しています。もっと早く正しい診断に辿り着いていれば、と思うと悔やまれます」（東京都・Kさん・ダックスフンド8歳）
            
            
                「愛犬のチワワが耳の端を掻きむしるようになり、最初は虫刺されかと思っていました。でも、両耳に同じような症状が出てきて、慌てて病院へ。血管炎という診断で、すぐに治療を開始しました。獣医さんから『早期発見で本当に良かった』と言われ、毎日の観察の大切さを実感しました。今は投薬治療を続けながら、元気に過ごしています」（神奈川県・Tさん・チワワ6歳）
            
        

        
            ## 参考文献

            
                - O'Neill DG, et al. Frequency and predisposing factors for canine otitis externa in the UK – a primary veterinary care epidemiological view. Canine Med Genet. 2021;8(1):7. doi: 10.1186/s40575-021-00106-2. PMID: 34389063; PMCID: PMC8422687.

                - Diaz S. Disorders of the Outer Ear in Dogs. MSD Veterinary Manual. Available at: https://www.msdvetmanual.com/ear-disorders/diseases-of-the-pinna/disorders-of-the-outer-ear-in-dogs [Accessed January 2025].

                - Diaz S. Ear Margin Seborrhea in Dogs. MSD Veterinary Manual. Available at: https://www.msdvetmanual.com/ear-disorders/diseases-of-the-pinna/ear-margin-seborrhea-in-dogs [Accessed January 2025].

                - Jeromin A. Ear edge dermatitis: Look beyond scabies. DVM360. 2020 Apr 27. Available at: https://www.dvm360.com/view/ear-edge-dermatitis-look-beyond-scabies

                - Saridomichelakis MN, et al. Aetiology of canine otitis externa: a retrospective study of 100 cases. Vet Dermatol. 2007;18(5):341-347. doi:10.1111/j.1365-3164.2007.00619.x. PMID: 17845622.

                - Nuttall T, et al. Managing recurrent otitis externa in dogs: what have we learned and what can we do better? J Am Vet Med Assoc. 2023;261(S1):S10-S22. doi: 10.2460/javma.23.01.0002. PMID: 37019436.

                - Cornell University College of Veterinary Medicine. Itchy ear problems. Available at: https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/riney-canine-health-center/canine-health-information/itchy-ear-problems [Accessed January 2025].

            

        

        
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