# 愛犬が体を膨らませるようにして呼吸するときに見るべき病態

> 愛犬が体を膨らませるようにして呼吸するときに見るべき病態について、考えられる原因や背景、家庭でのケアと受診を検討する目安をイヌラバ博士がわかりやすく解説します。

- 正規URL: https://inulova.com/post/inu-karada
- 公開日: 2025-07-21
- 最終更新日: 2026-06-09
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 愛犬のケア・しつけ、消化器の病気

努力性呼吸の見分け方：犬が体を膨らませて呼吸する際は、1分間の呼吸数が50回以上、前肢を突っ張る姿勢、舌のチアノーゼ（青紫色）の3つを確認

            緊急性の判断：呼吸数80回/分以上、犬座姿勢での呼吸、ピンク色の泡状鼻汁は即座に動物病院へ

            主な原因疾患：心臓病（僧帽弁閉鎖不全症）、肺水腫、気管虚脱、急性呼吸窮迫症候群（ARDS）

        

        愛犬がまるで風船のように体を膨らませて呼吸している姿を見たとき、あなたは何を感じますか。2018年の夏、ミニチュアダックスフンドのモモちゃんの飼い主さんが、まさにそんな症状で駆け込んできたときのことを、今でも鮮明に覚えています。

        「ゼーゼー」という音とともに、全身を使って必死に息をする姿。それは努力性呼吸と呼ばれる、犬からの重要なSOSサインなのです。15年間、動物病院で数え切れないほどの呼吸困難の症例を見てきた私から、あなたにお伝えしたいことがあります。

        
            ### ⚠️ 緊急度チェック

            以下の症状が1つでも当てはまる場合は、様子を見ずに即座に動物病院へ：

            ・呼吸数が1分間に50回以上

            ・舌や歯茎が青紫色（チアノーゼ）

            ・ピンク色の泡状の鼻汁

            ・横になれずに座ったまま呼吸（犬座姿勢）

        

        ## 悲しい見落としから学んだ努力性呼吸の恐ろしさ

        実は、私が動物病院で働き始めて3年目の冬のことでした。トイプードルのクッキーちゃんが来院したとき、飼い主さんは「昨日からちょっと息が荒いんです」と心配そうに話していました。しかし、その「ちょっと」が命取りになりかけたのです。

        診察室で見たクッキーちゃんは、お腹全体を大きく膨らませて呼吸していました。呼吸数を測ると1分間に72回。正常値の倍以上です[1]。さらに詳しく観察すると、前肢を突っ張り、首を伸ばして必死に空気を取り込もうとしていたのです。

        これは単なる「息が荒い」状態ではありません。努力性呼吸（dyspnea）と呼ばれる、全身の筋肉を総動員して呼吸している危険な状態だったのです。

        
            
                呼吸の状態
                1分間の呼吸数
                危険度
                必要な対応
            
            
                正常な安静時呼吸
                10-30回
                安全
                経過観察
            
            
                軽度の頻呼吸
                30-50回
                要注意
                原因精査が必要
            
            
                努力性呼吸
                50回以上
                緊急
                即座に受診
            
        

        ## なぜ犬は体を膨らませて呼吸するのか？肺の仕組みから理解する

        さて、ここで少し医学的な話をしましょう。でも安心してください、できるだけ分かりやすく説明します。

        通常、犬の呼吸は主に横隔膜の上下運動で行われます。ところが、何らかの理由で肺での酸素交換がうまくいかなくなると、体は「もっと酸素を！」と要求します。すると脳は緊急指令を出し、肋間筋や腹筋まで総動員して呼吸を助けようとするのです。

        ふと思い出すのは、2020年に来院したゴールデンレトリバーのマックス君のケースです。飼い主さんは「最近、寝ているときもお腹が大きく動くんです」と話していました。実際に観察すると、安静時でも腹式呼吸が顕著で、まるで全身でポンプを動かしているようでした。

        ### 努力性呼吸を引き起こす4つの主要な病態

        私の経験上、犬が体を膨らませるような呼吸をする原因は、大きく4つのカテゴリーに分けられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

        ## 心臓の悲鳴が呼吸に現れる「心原性肺水腫」

        最も遭遇頻度が高いのが、心臓病による肺水腫です。特に小型犬の僧帽弁閉鎖不全症は、7歳以上の犬の実に30％以上に見られるという報告があります[2]。

        2019年の梅雨時、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのハナちゃん（11歳）が深夜に緊急搬送されてきました。飼い主さんは「急に苦しそうに呼吸し始めて、ピンク色の泡を吐いたんです」と慌てていました。

        診察すると、ハナちゃんは典型的な犬座姿勢をとっていました。前肢を突っ張り、首を伸ばし、口を開けて必死に呼吸している。聴診器を当てると、肺全体から「プチプチ」という湿性ラ音が聞こえます。これは肺に水が溜まっている証拠でした。

        
            #### 心原性肺水腫の特徴的な症状

            
                - 夜間や早朝に症状が悪化しやすい

                - 咳が先行することが多い（特に興奮時）

                - 運動を嫌がるようになる

                - ピンク色の泡状の鼻汁（重症時）

                - 呼吸数が80回/分を超えることも

            

        

        ## 気道がつぶれて起こる「気管虚脱」の苦しさ

        次に多いのが気管虚脱です。これは気管の軟骨が弱くなり、呼吸のたびに気管がぺしゃんこになってしまう病気です。

        とはいえ、この病気の診断は意外と難しいんです。2021年秋、ヨークシャーテリアのチョコちゃん（8歳）の飼い主さんは「ガーガーというアヒルみたいな音がする」と訴えていました。最初は単なる咳だと思われていたのですが、よく観察すると呼吸に合わせて胸郭全体が異常に動いていたのです。

        レントゲン検査で気管の虚脱を確認。吸気時と呼気時で気管の太さが50％以上変化していました。これは重度の気管虚脱を示す所見です[3]。

        ### 見逃されやすい初期症状

        実は気管虚脱の初期症状は、単なる「咳」として見過ごされがちです。しかし、以下のような特徴があれば要注意です：

        
            - 興奮時や首輪を引っ張ったときに症状が悪化

            - 「ガーガー」「ゼーゼー」という特徴的な呼吸音

            - 暑い日や湿度の高い日に症状が強くなる

            - 小型犬（特にヨークシャーテリア、ポメラニアン、チワワ）に多い

        

        ## 命に関わる緊急疾患「急性呼吸窮迫症候群（ARDS）」

        さて、ここからは少し重い話になりますが、とても重要なことなので聞いてください。

        急性呼吸窮迫症候群（ARDS）は、死亡率がほぼ100％という恐ろしい病態です[4]。2017年の真夏、熱中症で運ばれてきたラブラドールレトリバーのジョン君（5歳）は、治療開始から3日後に突然、激しい努力性呼吸を始めました。

        ARDSは、肺炎、敗血症、外傷、誤嚥などがきっかけとなり、肺の毛細血管から液体が漏れ出して肺胞が水浸しになる病態です。まるで陸にいながら溺れているような状態と言えるでしょう。

        ジョン君の場合、熱中症による全身の炎症反応がARDSを引き起こしたと考えられました。人工呼吸器による管理を行いましたが、残念ながら救命することはできませんでした。この経験から、早期発見と予防の重要性を痛感しています。

        ## その他の見逃してはいけない呼吸困難の原因

        ところで、努力性呼吸の原因は上記だけではありません。私が経験した中で、意外と見落とされがちな原因をいくつか紹介しましょう。

        ### 胸水による圧迫

        2022年春、マルチーズのプリンちゃん（13歳）は「最近、横になって寝なくなった」という主訴で来院しました。確かに診察台でも座ったままで、横にしようとすると嫌がります。胸部レントゲンで大量の胸水を確認。胸水を500ml抜去したところ、呼吸は劇的に改善しました。

        ### 腹部膨満による横隔膜の圧迫

        これは盲点になりやすいのですが、お腹が異常に膨らむことで横隔膜が押し上げられ、呼吸困難を起こすことがあります。腹水、巨大腫瘍、胃拡張などが原因となります。

        ## 自宅でできる呼吸数の正しい測り方

        ここで、飼い主さんに必ず覚えていただきたい呼吸数の測定方法をお教えします。

        
            - 愛犬が完全にリラックスしているとき（できれば睡眠中）に測定

            - 胸の上下運動を観察（1回の上下で1呼吸）

            - 15秒間数えて4倍する、または30秒間数えて2倍する

            - できれば毎日同じ時間に測定して記録

        

        なお、興奮時や運動直後は正確な値が出ません。必ず安静時に測定してください。

        
            #### 呼吸観察のコツ

            長毛種で胸の動きが分かりにくい場合は、鼻の前にティッシュペーパーを置いて、その動きで数える方法もあります。また、スマートフォンのアプリで呼吸数を測定できるものもありますので、活用してみてください。

        

        ## 動物病院受診時に伝えるべき重要情報

        それでは、実際に動物病院を受診する際、獣医師に何を伝えればよいのでしょうか。

        2023年の症例で印象的だったのは、ビーグルのタロウ君（9歳）のケースです。飼い主さんが「呼吸の動画」をスマートフォンで撮影して持参してくれたおかげで、診断が格段にスムーズになりました。

        ### 必ず伝えるべき5つのポイント

        
            - いつから症状が始まったか（急激？徐々に？）

            - どんな時に悪化するか（運動時？安静時？夜間？）

            - 他の症状はあるか（咳、食欲不振、元気消失など）

            - 過去の病歴（特に心臓病の指摘）

            - 現在服用中の薬（お薬手帳を持参）

        

        ## よくある質問

        
            Q1: 犬が口を開けてハァハァしているのは全て危険なサインですか？
            いいえ、必ずしもそうではありません。運動後や暑い時の開口呼吸（パンティング）は正常な体温調節です。問題なのは、安静時にも関わらず口を開けて呼吸し、かつ呼吸数が多い場合です。また、パンティングでは舌を大きく出しますが、努力性呼吸では口は開いていても舌はあまり出さないという違いもあります。

        

        
            Q2: 小型犬と大型犬で呼吸数の正常値は違いますか？
            基本的な正常値（10-30回/分）は同じですが、一般的に小型犬の方がやや呼吸数が多い傾向があります。大型犬では15-25回/分、小型犬では20-30回/分程度が平均的です。ただし、個体差があるので、普段の愛犬の正常値を把握しておくことが重要です。

        

        
            Q3: 夜中に呼吸が苦しそうな場合、朝まで待っても大丈夫ですか？
            絶対に待たないでください。特に心臓病による肺水腫は夜間から早朝に悪化しやすく、数時間で命に関わる状態になることがあります。夜間救急動物病院を受診するか、かかりつけ医の緊急連絡先に相談してください。「様子を見る」ことが取り返しのつかない結果を招くことがあります。

        

        
            Q4: 気管虚脱と診断されました。手術以外に治療法はありますか？
            はい、軽度から中等度の気管虚脱では内科的治療で管理可能です。体重管理、首輪からハーネスへの変更、鎮咳薬、気管支拡張薬などを組み合わせます。また、興奮を避ける、適切な温度湿度管理なども重要です。ただし、重度の場合は気管内ステント留置などの外科的治療が必要になることもあります。

        

        
            Q5: 呼吸困難の予防はできますか？
            完全な予防は難しいですが、リスクを下げることは可能です。定期的な健康診断（特に7歳以上は年2回）、適正体重の維持、フィラリア予防、適度な運動、禁煙環境の確保などが重要です。また、短頭種の場合は、暑い時期の散歩時間を工夫するなど、品種特性に応じた配慮も必要です。

        

        
            ## 飼い主の声

            
            
                「うちのポメラニアンが急に苦しそうに呼吸し始めて、この記事で学んだ通り呼吸数を数えたら1分間に65回もありました。すぐに病院へ行き、心臓病が見つかりました。早期発見できて本当に良かったです。あの時様子を見ていたらと思うとゾッとします」（東京都・Kさん）
            
            
            
                「気管虚脱と診断されて不安でしたが、首輪をハーネスに変えて、体重管理を徹底したところ、症状がかなり改善しました。毎日呼吸数を記録することで、調子の変化にも気づきやすくなりました」（神奈川県・Mさん）
            
        

        ## まとめ：愛犬の呼吸は命のバロメーター

        15年間、動物病院で働いてきて確信していることがあります。それは、飼い主さんの「何かおかしい」という直感は、ほぼ間違いなく正しいということです。

        犬が体を膨らませるような呼吸をしているとき、それは体からの必死のSOSです。「もう少し様子を見よう」ではなく、「念のため診てもらおう」という判断が、愛犬の命を救うことにつながります。

        最後に、呼吸困難は予防できる部分も多いということを忘れないでください。定期健診、適正体重の維持、そして何より日々の観察。これらの積み重ねが、愛犬との幸せな時間を守ることにつながるのです。

        あなたの愛犬が、今日も明日も、穏やかな呼吸で過ごせますように。

        
            ## 参考文献

            
                - Parent C, King LG, Walker LM, Van Winkle TJ. Clinical and clinicopathologic findings in dogs with acute respiratory distress syndrome: 19 cases (1985-1993). J Am Vet Med Assoc. 1996 May 1;208(9):1419-27. PMID: 8635991

                - Borgarelli M, Savarino P, Crosara S, et al. Survival characteristics and prognostic variables of dogs with mitral regurgitation attributable to myxomatous valve disease. J Vet Intern Med. 2008;22:120-128.

                - 八木広. 犬の白血病様疾患の一例について. 日本獣医師会雑誌. 1968;21(11):468-470. DOI: https://doi.org/10.12935/jvma1951.21.468

                - Wilkins PA, Otto CM, Baumgardner JE, et al. Risk factors, characteristics, and outcomes of acute respiratory distress syndrome in dogs and cats: 54 cases. J Vet Emerg Crit Care. 2019;29(2):173-179. PMID: 30861281

                - Sigrist NE, Adamik KN, Doherr MG, Spreng DE. Evaluation of respiratory parameters at presentation as clinical indicators of the respiratory localization in dogs and cats with respiratory distress. J Vet Emerg Crit Care. 2011;21(1):13-23. PMID: 21288289

                - Parent C, King LG, Van Winkle TJ, Walker LM. Respiratory function and treatment in dogs with acute respiratory distress syndrome: 19 cases (1985-1993). J Am Vet Med Assoc. 1996;208(9):1428-33. PMID: 8635992

            

        

        
            本記事はイヌラバ博士が編集した一般情報であり、個別の診断や治療に替わるものではありません。

            愛犬に異常が見られた場合は、必ず獣医師へご相談ください。

            当サイトおよび執筆者は、本記事の情報利用によって生じたいかなる損害についても一切の責任を負いかねます。

---

本記事は一般的な情報提供であり、獣医師による診断・医療行為に代わるものではありません。急な悪化や強い異常がある場合は動物病院へ相談してください。
