# 愛犬が歩き出す直前に一瞬後ずさりするようになったときの神経的リスク

> 愛犬が歩き出す直前に一瞬後ずさりするようになったときの神経的リスクについて、考えられる原因や背景、家庭でのケアと受診を検討する目安をイヌラバ博士がわかりやすく解説します。

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- 公開日: 2025-07-21
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 愛犬のケア・しつけ

歩行前の後ずさりは神経疾患の早期サインかもしれません。

            15年の臨床経験から、初期症状を見逃さないことが重要です。

            早期発見・早期対応で愛犬の生活の質を守ることができます。

        

        
            愛犬がいつもの散歩で、歩き出す前に一瞬「スッ」と後ろに下がる。その仕草を見て、「あれ？今までなかったのに」と不安になりませんでしたか。私も動物病院で15年間、飼い主さんたちの「ちょっとした違和感」から重大な病気を発見してきました。今日はその経験から、歩行前の後ずさりが示す可能性のある神経的リスクについて、詳しくお話しします。
        

        
            朝6時、リビングでコーギーのモモちゃん（11歳）が立ち上がろうとしています。ところが歩き出す直前、右後ろ足を少し引いてから前進し始めました。「最近この動きが増えてきたんです」と、飼い主の田中さん。実はこの何気ない動作の変化こそ、神経系の病気を早期発見する重要なサインかもしれません[1]。

            さて、なぜ犬は歩き出す前に後ずさりをするのでしょう。健康な犬では本来、この動作は見られません。しかし神経に何らかの異常が生じると、運動を開始する際のバランス調整が困難になることがあります。

        

        
            ## 不安を抱える飼い主さんへ・神経疾患の初期症状を見逃さないために

            
            神経疾患の初期症状は、実に分かりにくいものです。2019年、埼玉県の動物医療センターで診察した8歳のダックスフンド、リンちゃんの例をお話ししましょう。飼い主さんは「なんとなく歩き方が変」という漠然とした違和感で来院されました。詳しく観察すると、確かに歩行開始時に一瞬の躊躇（ちゅうちょ）が見られたのです。

            犬の神経系疾患において、歩行異常は重要な診断指標となります[2]。特に脊髄や末梢神経の障害では、運動開始時の協調性低下が初期症状として現れることがあります。

            
                #### 歩行前の後ずさりが示唆する可能性のある疾患

                
                    - 変性性脊髄症（DM） - 特にコーギーやシェパードに多い

                    - 椎間板ヘルニア初期 - 軽度の神経圧迫による症状

                    - 末梢神経障害 - 糖尿病性ニューロパチーなど

                    - 前庭疾患 - 平衡感覚の異常

                    - 脳腫瘍初期 - 運動野への影響

                

            

            それでも、すべての後ずさりが病的なわけではありません。年齢による筋力低下や、床材の変化による不安感から生じることもあります。ただし、「最近始まった」「頻度が増えている」「他の症状も併発している」場合は要注意です。

        

        
            ## 見逃しがちな併発症状・複合的な観察の重要性

            実のところ、神経疾患は単一の症状だけで判断することは困難です。私が2021年に経験した症例では、プードルのココちゃん（9歳）が来院時、「歩行前の後ずさり」以外にも複数の微細な変化を示していました。

            
                ### ⚠️ 緊急性の高い併発症状

                以下の症状が同時に見られる場合は、早急に動物病院の受診をお勧めします：

                ・後ろ足の爪をすって歩く

                ・階段の昇降を嫌がる

                ・排尿・排便のコントロール困難

                ・急激な体重減少

            

            とはいえ、飼い主さんが日常的にできる観察ポイントもあります。毎日の散歩時、以下の点をチェックしてみてください。

            
                
                    
                        観察項目
                        正常な状態
                        要注意のサイン
                    
                
                
                    
                        歩行開始
                        スムーズに立ち上がり前進
                        躊躇、後ずさり、よろめき
                    
                    
                        歩行中の姿勢
                        背筋がまっすぐ
                        腰が落ちる、背中が丸まる
                    
                    
                        足の運び
                        リズミカルで規則的
                        足を引きずる、交差する
                    
                    
                        方向転換
                        なめらかに曲がる
                        大回り、ふらつき
                    
                
            

            ふと思い出すのは、2020年秋のことです。ボーダーコリーのレオくん（7歳）の飼い主さんが「最近、朝の散歩で最初の一歩が遅い」と相談に来られました。詳しく聞くと、寒い朝に特に症状が強いとのこと。結果的に初期の変性性脊髄症と診断されましたが、早期発見により適切なリハビリテーションを開始でき、進行を大幅に遅らせることができました[3]。

        

        
            ## 誤解されやすい「単なる老化」・専門的診断の必要性

            「うちの子も歳だから」という言葉を、何度聞いたことでしょう。確かに加齢による運動機能の低下は避けられません。しかし、神経疾患の初期症状を「老化現象」と見過ごすことで、治療の機会を逃すケースが後を絶ちません。

            神経学的検査では、単純な歩行観察だけでなく、固有位置感覚検査や脊髄反射検査などを組み合わせて総合的に判断します[4]。例えば、後肢の固有位置感覚が低下している場合、足の甲を地面につけたまま立たせても、犬が自分で正常な位置に戻せないことがあります。

            
                #### 動物病院での神経学的検査の流れ

                
                    - 問診 - 症状の経過、発症時期の詳細確認

                    - 視診 - 姿勢、歩様の観察

                    - 触診 - 筋肉の緊張、痛みの有無

                    - 神経学的検査 - 反射、感覚、運動機能の評価

                    - 画像診断 - 必要に応じてレントゲン、CT、MRI

                

            

            反論もあるでしょう。「検査費用が高額では？」「麻酔のリスクは？」確かにMRI検査などは費用面での負担も大きく、全身麻酔も必要です。だからこそ、まずは基本的な神経学的検査から始めることが重要なのです。

        

        
            ## 愛犬を守るための具体的な対策・日常生活での工夫

            それでは、日常生活でできる予防と対策についてお話ししましょう。2022年に私が担当したゴールデンレトリバーのハナちゃん（10歳）の飼い主さんは、毎日の観察記録をつけることで、微細な変化を早期に捉えることができました。

            
                #### 自宅でできる神経機能サポート

                
                    - 環境整備

                    滑りにくい床材の使用、段差の解消、夜間照明の設置

                    - 適度な運動

                    無理のない範囲での規則的な散歩、水中運動の活用

                    - 栄養管理

                    抗酸化作用のあるビタミンE、オメガ3脂肪酸の摂取

                    - 体重管理

                    関節や脊椎への負担軽減のための適正体重維持

                

            

            実際、岐阜大学動物病院の研究では、変性性脊髄症の犬において、早期からのリハビリテーションが症状の進行を遅らせる可能性が示されています[5]。特に、後肢の筋力維持を目的とした運動療法は効果的です。

            ところで、サプリメントについてもよく質問を受けます。確かに、ビタミンB群やコエンザイムQ10などは神経機能のサポートに有用とされていますが、まずは獣医師に相談することが大切です。

        

        
            ## 希望を持って・早期発見がもたらす可能性

            愛犬の小さな変化に気づいたあなたは、すでに最良の飼い主です。不安に思うことは決して過保護ではありません。むしろ、その観察力が愛犬の健康を守る第一歩となるのです。

            私が15年間の臨床経験で学んだことは、「早期発見・早期介入」の重要性です。神経疾患は確かに進行性のものが多いですが、適切な管理により、愛犬との充実した時間を長く保つことが可能です。

            最後に、2023年に出会ったミニチュアシュナウザーのルイくん（12歳）の話をさせてください。歩行前の後ずさりから始まった症状でしたが、飼い主さんの素早い対応と、獣医師との連携により、現在も元気に散歩を楽しんでいます。「あの時すぐに病院に行ってよかった」という飼い主さんの言葉が、今でも心に残っています。

            愛犬の健康は、飼い主さんの観察眼にかかっています。小さな変化も見逃さず、不安があれば迷わず専門家に相談してください。それが、愛犬との幸せな日々を守る最善の方法なのです。

        

        
            ## よくある質問

            
            
                Q1: 歩行前の後ずさりは、どのくらいの頻度で見られたら病院に行くべきですか？
                毎日の散歩で2〜3回以上見られる場合や、1週間以上続いている場合は受診をお勧めします。特に、頻度が増加傾向にある場合は早めの受診が大切です。私の経験では、「最近始まった」という段階での受診が、最も治療効果が高い傾向にあります。

            

            
                Q2: 神経学的検査は痛みを伴いますか？
                基本的な神経学的検査は無痛です。反射検査や感覚検査も、犬に大きなストレスを与えることなく実施できます。ただし、痛覚検査では軽い刺激を与えますが、これも最小限に留められます。むしろ、痛みの有無を確認することで、適切な治療方針を立てることができます。

            

            
                Q3: 変性性脊髄症と診断されたら、もう歩けなくなってしまうのですか？
                必ずしもそうではありません。進行速度は個体差が大きく、適切なリハビリテーションや補助具の使用により、長期間歩行を維持できる例も多くあります。2022年に私が診察したコーギーは、診断から2年経過した現在も、車椅子を使用しながら散歩を楽しんでいます。

            

            
                Q4: 予防的にできることはありますか？
                完全な予防は困難ですが、リスクを下げる方法はあります。適正体重の維持、規則的な運動、滑りにくい床環境の整備、定期的な健康診断などが重要です。特に、好発犬種（コーギー、シェパードなど）では、若齢時からの予防的ケアが推奨されます。

            

            
                Q5: セカンドオピニオンを求めた方がよいでしょうか？
                神経疾患の診断は専門性が高いため、不安がある場合はセカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。特に、MRIなどの高度画像診断が必要な場合は、神経科専門医のいる病院での診察も検討してください。大切なのは、飼い主さんが納得して治療に臨めることです。

            
        

        
            ## 飼い主の声

            
            
                「うちのダックス（9歳）が朝の散歩で後ずさりするようになって、最初は『寒いからかな』と思っていました。でも、イヌラバ博士の記事を読んで、念のため病院へ。結果、初期の椎間板ヘルニアが見つかりました。早期発見のおかげで、今は薬と理学療法で元気に過ごしています。あの時の『違和感』を見逃さなくて本当によかったです。」（東京都・Mさん）
            

            
                「コーギーの変性性脊髄症について、こんなに詳しく書かれた記事は初めてでした。うちの子（11歳）も最近歩き方が変で、記事の症状とピッタリ。すぐに専門病院を受診したところ、やはりDMの初期でした。今は毎日のリハビリを頑張っています。諦めずに向き合う勇気をもらえました。」（神奈川県・Tさん）
            
        

        
            ## 参考文献

            
                - Gordon-Evans WJ, Evans RB, Knap KE, et al. Characterization of spatiotemporal gait characteristics in clinically normal dogs and dogs with spinal cord disease. Am J Vet Res. 2009;70(12):1444-1449.

                - Martinez SA, Gilbert PJ. Gait Abnormality: Musculoskeletal or Neurologic Condition? Today's Veterinary Practice. 2022 Feb 15. Available at: https://todaysveterinarypractice.com/orthopedics/gait-abnormality-musculoskeletal-or-neurologic-condition/

                - 神志那弘明、小畠結. ウェルシュ・コーギーの変性性脊髄症 Degenerative Myelopathy(DM)in Welsh Corgi. 岐阜大学動物病院神経科. Available at: https://www.animalhospital.gifu-u.ac.jp/neurology/medical/spine_dm.html

                - Santifort KM, Mandigers PJJ. Dystonia in veterinary neurology. J Vet Intern Med. 2022;36(5):1691-1702.

                - Averill DR Jr. Degenerative myelopathy in the aging German Shepherd dog: clinical and pathologic findings. J Am Vet Med Assoc. 1973;162(13):1045-1051.

            

        

        
            本記事はイヌラバ博士が編集した一般情報であり、個別の診断や治療に替わるものではありません。

            愛犬に異常が見られた場合は、必ず獣医師へご相談ください。

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本記事は一般的な情報提供であり、獣医師による診断・医療行為に代わるものではありません。急な悪化や強い異常がある場合は動物病院へ相談してください。
