# 犬が空中や壁をじっと見つめるとき：注意サインと家庭でできる対処

> 愛犬が壁を見つめて動かない、呼びかけに反応しない、同じ場所をぐるぐる回る場合は、24時間以内に獣医師の診察を受けてください。

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- 公開日: 2025-10-12
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 認知症

緊急度チェック：愛犬が壁を見つめて動かない、呼びかけに反応しない、同じ場所をぐるぐる回る場合は、24時間以内に獣医師の診察を受けてください。

            症例データ：11〜12歳の犬の28％、15〜16歳の68％に認知機能障害の兆候が見られます。

        

        
            夜中の2時、リビングで愛犬のマロンが壁の一点をじーっと見つめて動かない。「おいで」と呼んでも振り向かない。そんな経験はありませんか？私が動物病院で働いていた15年間、この症状で来院される飼い主さんは想像以上に多かったのです。
        

        
            とはいえ、全てが深刻な病気というわけではありません。[1] 実は2011年にNeilsonらが行った研究によると、11歳以上の犬の約22.5％に何らかの認知機能の変化が見られたといいます。しかしながら、この「じっと見つめる」行動には、注意すべき重要なサインが隠れていることもあるのです。
        

        
            ### ⚠️ 至急受診が必要な症状

            ・突然の痙攣発作を伴う場合

            ・片側に傾きながら歩く

            ・食事や水を全く摂らない

            ・目が左右に揺れている（眼振）

        

        ## 不安を感じる「見えない何か」への視線

        
            私が勤務していた千葉県の動物病院で、2018年の秋頃のことでした。
            13歳のゴールデンレトリバー、ハナちゃんの飼い主さんが慌てた様子で来院されました。「昨日から何もない天井の角をずっと見上げているんです」と。診察してみると、ハナちゃんには軽度の認知機能障害（CCD）の兆候が見られました。
        

        
            さて、犬の脳の老化は人間のアルツハイマー病と似た経過をたどることが分かっています。[2] コーネル大学獣医学部の研究では、脳内にベータアミロイドという異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞の機能が低下していくのです。それでも、早期に気づいて適切な対応をすれば、進行を遅らせることができます。
        

        
            一方で、「うちの子は大丈夫」と様子を見ていた別の症例もありました。2019年の春、ビーグルのコロちゃん（9歳）は、壁を見つめる以外に、左回りばかりするようになっていました。結果的にMRI検査で前頭葉に腫瘍が見つかったのです。[3] 早期発見できていれば、手術という選択肢もあったかもしれません。
        

        ### 記憶と現実の境界線が曖昧になるとき

        
            犬の認知機能障害は、DISHAA（ディシャー）という6つの症状カテゴリーで評価されます。Disorientation（見当識障害）、Interactions（社会的相互作用の変化）、Sleep-wake cycle（睡眠覚醒サイクルの変化）、House-soiling（不適切な排泄）、Activity（活動性の変化）、Anxiety（不安）です。
        

        
            ところが、これらの症状が全て同時に現れるわけではありません。私の経験では、最初は「あれ？今日はちょっと変かな」という程度。でも、3〜6ヶ月かけてゆっくりと進行していくんです。ある日突然、飼い主さんが「そういえば最近おかしい」と気づくパターンが多いです。
        

        
            実のところ、犬も人間と同じように、加齢とともに脳のブドウ糖代謝が低下します。すると脳はエネルギー不足に陥り、正常に機能できなくなるのです。「でも、どうしようもないのでは？」と思われるかもしれません。いいえ、そんなことはありません。
        

        ## 心配すべき瞬間と安心できる兆候

        
            2020年の冬、横浜市の動物病院で出会った柴犬のタロウ（14歳）は、特に興味深いケースでした。
            飼い主さんは「霊が見えているのでは」と心配されていましたが、詳しく聞くと、タロウが見つめているのは決まって暖房の吹き出し口付近。実は白内障で視力が低下し、暖気の揺らぎを何かと勘違いしていただけだったのです。
        

        
            #### 認知機能障害の初期サイン

            
                - 家の中で迷子になる（トイレの場所を忘れる）

                - 飼い主を認識できないことがある

                - 昼間寝て夜中に徘徊する

                - 隅っこに頭を押し付ける

                - 同じ場所を延々と円を描いて歩く

            

        

        
            とはいえ、全てを認知症と決めつけるのは危険です。Southeast Veterinary Neurologyの研究によれば、空中を見つめる行動の原因は多岐にわたります。[4] 脳腫瘍、てんかん、前庭疾患（めまい）、重度の耳の感染症なども同様の症状を示すことがあるのです。
        

        
            ふと思い出すのは、ボーダーコリーのメリー（8歳）のケースです。彼女は突然、テレビの後ろの壁を見つめるようになりました。しかし、よく観察すると、実は壁の中でネズミが動く音に反応していただけでした。高周波の音は人間には聞こえませんが、犬には聞こえるんです。
        

        ### 静かに進行する脳の変化を見逃さないために

        
            認知機能の低下は、実は6歳頃から始まっているという研究結果があります。ただし、症状として現れるのは多くの場合9歳以降。この「サイレント期間」に適切な予防策を講じることが、その後の経過を大きく左右します。
        

        
            実際、2017年の研究では、中鎖脂肪酸（MCT）を含む食事を与えた犬の約48％で、認知機能テストのスコアが改善したと報告されています。[5] 「え、油で良くなるの？」と驚かれるかもしれませんが、MCTは肝臓でケトン体に変換され、ブドウ糖の代わりに脳のエネルギー源となるのです。
        

        ## 飼い主ができる5つの観察ポイント

        
            私が診察で必ずお伝えしていた観察方法があります。
            まず、愛犬が空中を見つめている時の「時間帯」を記録してください。認知症の場合、多くは夕方から夜にかけて症状が強くなります（日没現象といいます）。
        

        
            - 視線の方向と持続時間：5分以上同じ場所を見続けるか、数秒で他に移るか

            - 呼びかけへの反応：名前を呼んだ時、振り向くまでの時間

            - 瞳孔の大きさ：左右で差がないか、光への反応は正常か

            - 頭の傾き：常に片側に傾いていないか

            - 歩き方の変化：まっすぐ歩けるか、片側に寄っていかないか

        

        
            それから、スマートフォンで動画を撮影しておくことをお勧めします。診察室では緊張して普段の様子が見られないことが多いからです。私も何度も「家ではもっとひどいんです」という飼い主さんの言葉を聞きました。動画があれば、獣医師も的確な診断がしやすくなります。
        

        ## 今すぐ始められる予防と対処法

        
            千葉県松戸市で2021年に行われた調査では、認知症予防に取り組んだ犬の約70％で進行が遅延したという結果が出ています。
            具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。
        

        
            まず、食事の見直しです。MCTオイルを含むフード（Purina Pro Plan NeuroCareなど）への切り替えを検討してみてください。[6] ただし、急激な変更は下痢を引き起こすことがあるので、7〜10日かけて徐々に切り替えます。
        

        
            #### 環境エンリッチメントの実践

            
                - 新しいおもちゃを週1回導入する

                - 散歩コースを定期的に変更する

                - 知育玩具で遊ばせる（1日15分程度）

                - 簡単なトレーニングを継続する

                - 他の犬との適度な交流を保つ

            

        

        
            さらに、サプリメントの活用も有効です。DHA、EPA、ビタミンE、セレニウムなどの抗酸化物質は、神経細胞の保護に役立ちます。実際、私が担当していたマルチーズのモモちゃん（12歳）は、サプリメントを3ヶ月続けたところ、夜間の徘徊が明らかに減りました。
        

        
            とはいえ、最も大切なのは「早期発見・早期対応」です。「年だから仕方ない」と諦めないでください。適切な治療とケアで、愛犬との幸せな時間をより長く過ごすことができるのです。
        

        ## よくある質問（FAQ）

        
            Q1: 何歳から認知症のリスクが高まりますか？
            一般的に7歳以降から脳の変化が始まりますが、症状として現れるのは9〜11歳が多いです。小型犬は大型犬より発症が遅い傾向があります。早い犬では7歳から症状が出ることもあるので、シニア期に入ったら定期的な健康チェックが重要です。

        

        
            Q2: 夜中に壁を見つめて鳴く場合はどうすればいいですか？
            まず安全確保が最優先です。階段からの転落防止柵を設置し、夜間照明をつけておきましょう。獣医師に相談の上、メラトニンやトラゾドンなどの睡眠改善薬を検討することもあります。日中の活動量を増やし、夕方以降はカフェインを含まない穏やかな環境を作ることも効果的です。

        

        
            Q3: MCTオイルはどのくらいの量を与えればいいですか？
            体重10kgの犬で1日小さじ1杯（約5ml）から始め、徐々に増やします。急激に与えると下痢の原因になるので、必ず少量から開始してください。市販のMCT配合フードなら、パッケージの給与量を守れば適切な量が摂取できます。獣医師と相談しながら調整することをお勧めします。

        

        
            Q4: 認知症と脳腫瘍の見分け方はありますか？
            症状だけでの判別は困難ですが、進行速度に違いがあります。認知症は数ヶ月〜年単位でゆっくり進行しますが、脳腫瘍は数週間で急速に悪化することが多いです。また、脳腫瘍では痙攣発作、片麻痺、瞳孔不同などの神経症状を伴うことが特徴的です。確定診断にはMRI検査が必要です。

        

        
            Q5: 薬以外でできる対策はありますか？
            環境エンリッチメントが非常に有効です。新しいおもちゃの導入、パズルフィーダーの使用、短時間の新しいトレーニング、マッサージやブラッシングなどの身体接触、音楽療法なども効果があります。また、規則正しい生活リズムを保ち、日光浴をさせることも大切です。

        

        
            ## 飼い主の声

            
                「15歳のトイプードルが壁を見つめるようになって不安でしたが、MCTフードとサプリメントを始めて3ヶ月、明らかに反応が良くなりました。完全に元通りとはいきませんが、名前を呼べば振り向いてくれるようになり、夜も落ち着いて寝てくれます。早めに対処して本当に良かったです。」（東京都・Kさん）
            
            
                「うちのラブラドール（13歳）は、天井の一点を見つめて唸るようになりました。最初は霊的な何かかと思いましたが、検査の結果、軽度の認知症と診断されました。環境を整えて、知育玩具で遊ばせるようにしたら、症状が改善。今では普通に生活できています。諦めなくて良かった。」（神奈川県・Mさん）
            
        

        
            ## 参考文献

            
                - Neilson JC, Hart BL, Cliff KD, Ruehl WW. Prevalence of behavioral changes associated with age-related cognitive impairment in dogs. J Am Vet Med Assoc. 2001;218(11):1787-1791. PMID: 11394831. DOI: 10.2460/javma.2001.218.1787

                - Cornell University College of Veterinary Medicine. Cognitive dysfunction syndrome. Available at: https://www.vet.cornell.edu/departments-centers-and-institutes/riney-canine-health-center/canine-health-information/cognitive-dysfunction-syndrome (Accessed: 2025)

                - Miller AD, Miller CR, Rossmeisl JH. Canine Primary Intracranial Cancer: A Clinicopathologic and Comparative Review of Glioma, Meningioma, and Choroid Plexus Tumors. Front Oncol. 2019;9:1151. DOI: 10.3389/fonc.2019.01151

                - Southeast Veterinary Neurology. Help! My Dog is Staring at the Wall. Available at: https://sevneurology.com/blog/dog-staring-at-the-wall (Accessed: 2024)

                - Pan Y, Landsberg G, Mougeot I, et al. Efficacy of a therapeutic diet in dogs with signs of cognitive dysfunction syndrome (CDS): a prospective, double-blinded, placebo-controlled clinical study. Front Vet Sci. 2018;5:127. DOI: 10.3389/fvets.2018.00127

                - Dewey CW, Davies ES, Xie H, Wakshlag JJ. Canine cognitive dysfunction: pathophysiology, diagnosis, and treatment. Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2019;49(3):477-499. PMID: 30846383. DOI: 10.1016/j.cvsm.2019.01.013

            

        

        
            本記事はイヌラバ博士が編集した一般情報であり、個別の診断や治療に替わるものではありません。

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