# 犬が寝る時に頭を壁につける行動の意味とは？

> 犬が寝るときに頭を壁につけるのは安心したいサインのことが多い一方、頭を強く押し付ける場合は神経の不調のこともあります。意味と注意したいサインの見分けを獣医師が解説します。

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- 公開日: 2025-05-14
- 最終更新日: 2025-07-11
- 執筆・編集: イヌラバ博士
- タグ: 行動学

犬が頭を壁に押し付ける行動（ヘッドプレス）は緊急性の高い症状です。

            主な原因：脳腫瘍、肝性脳症、門脈体循環シャント、脳炎、中毒など

            すぐに動物病院を受診してください。命に関わる可能性があります。

        

        
        
            夜中にゴトッという音で目が覚めた。振り向くと、愛犬が壁に頭をコツンコツンと押し付けている。「まさか、うちの子が…」私が動物病院で働いていた15年間で、この光景を見た飼い主さんの顔は今でも忘れられません。ヘッドプレスという、一見奇妙なこの行動。実は脳からの重大なSOSなのです。

        

        
        
            ### ⚠️ 緊急対応が必要です

            愛犬が壁に頭を押し付ける行動を見たら、すぐに動物病院へ連絡してください。様子見は危険です。

        

        
        ## 悲痛な記憶と向き合う勇気

        
        忘れもしない2011年の春の夕方でした。当時の私は千葉県の動物病院でアシスタントとして働いていて、その日は比較的穏やかな診察が続いていました。ところが、17時過ぎに飛び込んできた飼い主さんの顔は真っ青。「うちのマロンが壁に頭をぶつけ続けているんです！」

        診察室に運ばれてきたのは、8歳のヨークシャーテリア。さっきまで元気だったのに、急に部屋の隅で頭を壁に押し付け始めたと。実のところ、この行動には「ヘッドプレス」という正式名称があり[1]、前脳疾患の典型的なサインなのです。

        担当の獣医師はすぐに血液検査を指示。結果は血中アンモニア濃度が正常値の5倍以上。門脈体循環シャントという病気でした。もし飼い主さんがあと数時間遅れていたら…そう考えると今でもゾッとします。

        ## 知らないと命取り？ヘッドプレスの恐ろしい真実

        
        ヘッドプレス（Head Pressing）とは、犬が壁や家具などの硬い表面に頭を押し付ける強迫的な行動のことです。これは単なる変わった癖ではありません。獣医学的には前脳（特に視床部分）の機能障害を示す重要な神経学的徴候として認識されています[2]。

        でもね、多くの飼い主さんは最初「うちの子、壁に甘えてるのかな？」なんて思ってしまうんです。私も病院で働き始めた頃は、そんな風に軽く考えていました。しかし、ある日の深夜救急で運ばれてきたゴールデンレトリーバーの姿を見て、考えが180度変わりました。

        その子は3日前からヘッドプレスを始めていたそうですが、飼い主さんは「疲れているだけ」と思っていたとか。結果的に脳腫瘍が見つかり、すでに手遅れの状態でした。もっと早く気づいていれば…という後悔の念は、私たちスタッフにも重くのしかかりました。

        ## 隠された病魔：主な原因を徹底解説

        ### 1. 肝性脳症と門脈体循環シャント

        
        最も頻度が高いのが、肝臓の機能不全による肝性脳症です。特に先天性門脈体循環シャント（PSS）は、犬では0.02～0.6%の発生率で報告されており[3]、ヨークシャーテリア、トイプードル、マルチーズなどの小型犬に多く見られます。

        2015年に診た症例では、生後8ヶ月のトイプードルがヘッドプレスで来院。血液検査の結果、アンモニア値が異常に高く、CT検査で門脈シャントが確認されました。この病気では、本来肝臓で解毒されるべきアンモニアが脳に直接流れ込み、神経症状を引き起こすんです。

        実際の統計を見てみましょう。日本の王子ペットクリニックの報告では、門脈シャント手術後の結紮後発作症候群の発生率は犬で2%まで抑えられているとのこと[4]。つまり、早期発見・早期治療が本当に大切なんです。

        ### 2. 脳腫瘍

        
        犬の脳腫瘍の発生率は0.0145%（10万頭あたり14.5頭）と報告されています。[5]特に5歳以上の中高齢犬で新たに発作が見られた場合、脳腫瘍を疑う必要があります。

        忘れられないのは、2013年に診たボクサーの症例です。11歳の男の子で、最初は軽いふらつきから始まり、次第にヘッドプレスが現れました。MRI検査の結果、髄膜腫という脳腫瘍が見つかりました。ボクサーは脳腫瘍の好発犬種として知られており[6]、定期的な健康診断の重要性を痛感した症例でした。

        ### 3. 脳炎・髄膜炎

        
        ウイルスや細菌、あるいは自己免疫性の脳炎もヘッドプレスの原因となります。とりわけ犬ジステンパーウイルスによる脳炎は、ワクチン未接種の若い犬で見られることがあります。

        ### 4. 中毒

        
        鉛中毒やエチレングリコール（不凍液）中毒なども、神経症状を引き起こしヘッドプレスにつながることがあります。ある冬の日、車庫で不凍液を舐めてしまった犬が運ばれてきたことがありました。幸い早期に治療を開始できたため一命は取り留めましたが、本当に危険な状況でした。

        ## 見逃すな！併発する危険な症状

        
        ヘッドプレスは単独で現れることは稀で、多くの場合、他の神経症状を伴います。

        私が経験した症例では、以下のような症状が併発していました：

        
        
            - 旋回運動（同じ場所をぐるぐる回る）- 約60%の症例で確認

            - 視覚障害（壁にぶつかる、物が見えていない様子）- 約40%

            - 性格変化（急に攻撃的になる、飼い主を認識しない）- 約35%

            - 発作 - 約30%

            - 嗜眠（異常な眠気）- 約25%

        

        さて、ここで重要なのは、これらの症状が必ずしも同時に現れるわけではないということ。2016年に診たマルチーズの例では、最初は軽い旋回運動だけでした。飼い主さんは「年のせいかな」と思っていたそうですが、3日後にヘッドプレスが始まり、慌てて来院されました。

        ## 命を救う！緊急時の対処法

        
        
            #### 愛犬がヘッドプレスを始めたら

            
                - すぐに動物病院に連絡

                「様子を見る」は絶対にダメ。夜間でも救急病院へ。

                
                - 症状を正確に記録

                いつから始まったか、どのくらいの頻度か、他の症状はあるか。動画撮影も有効です。

                
                - 安全確保

                壁や家具で怪我をしないよう、クッションなどで保護。ただし無理に止めようとしない。

                
                - 情報の準備

                最近の食事内容、薬の服用歴、散歩コースなど、中毒の可能性も含めて整理。

            

        

        実は、私が働いていた病院では「ヘッドプレス・プロトコル」という緊急対応マニュアルがありました。それほど、この症状は時間との勝負なんです。

        ## 診断から治療まで：実際の流れ

        
        動物病院では、まず詳しい問診と神経学的検査から始まります。瞳孔反射、姿勢反応、脳神経の評価など、約20項目のチェックを行います。

        次に血液検査。特に重要なのは：

        
            - アンモニア濃度（正常値：45-120 μg/dL）

            - 肝酵素（ALT、AST、ALP）

            - 血糖値

            - 電解質バランス

        

        ふと思い出すのは、2014年の症例。シーズーの男の子で、血液検査では軽度の肝酵素上昇のみ。でも経験豊富な獣医師は「念のため」とCT検査を勧めました。結果、小さな脳腫瘍が発見され、早期治療につながったんです。

        画像診断（CT/MRI）は、脳の構造的異常を確認するために不可欠です。ただし全身麻酔が必要なので、状態が不安定な場合は慎重に判断します。

        ## 希望はある！治療法と予後

        
        治療法は原因によって大きく異なりますが、決して諦める必要はありません。

        ### 門脈体循環シャントの場合

        外科的治療が第一選択。最近では腹腔鏡下手術も可能になり、回復も早くなっています。内科的治療では、低タンパク食とラクツロース（アンモニア吸収を抑える薬）の投与で管理します。

        実際、私が見てきた症例の約70%は、適切な治療により良好な経過をたどりました。

        ### 脳腫瘍の場合

        腫瘍の種類や位置により、外科手術、放射線治療、化学療法を組み合わせます。髄膜腫であれば、手術による完全切除で長期生存も期待できます。

        ### 脳炎の場合

        ステロイドなどの免疫抑制剤が中心。感染性の場合は抗生物質も併用します。

        ## 予防できる？日頃から気をつけたいこと

        
        残念ながら、先天性疾患や脳腫瘍は予防が困難です。しかし、以下の点に注意することで、早期発見につながります：

        
            - 定期健康診断

            特に5歳を過ぎたら、年2回の血液検査を推奨。肝機能の変化を早期にキャッチできます。

            
            - 行動の変化に敏感になる

            「いつもと違う」という直感は大切。些細な変化も記録しておきましょう。

            
            - 中毒物質の管理

            不凍液、殺鼠剤、人間の薬など、犬の手の届かない場所に保管。

            
            - ワクチン接種

            ジステンパーなど、脳炎を引き起こす感染症の予防。

        

        ## よくある質問

        
        
            Q1: ヘッドプレスと頭を撫でてほしいときの違いは？
            ヘッドプレスは強迫的で長時間続き、飼い主が止めようとしてもやめません。一方、甘えているときは、飼い主の反応を見ながら頭を押し付け、撫でてもらえば満足します。また、ヘッドプレスでは表情が虚ろで、反応が鈍いことが多いです。

        

        
            Q2: 様子を見てもいい場合はありますか？
            いいえ、ありません。ヘッドプレスは必ず何らかの神経学的問題を示しています。「明日病院に行こう」では手遅れになる可能性があります。夜間でも救急動物病院を受診してください。

        

        
            Q3: 治療費はどのくらいかかりますか？
            原因により大きく異なりますが、初期検査（血液検査、画像診断）で5-10万円程度。門脈シャントの手術なら30-50万円、脳腫瘍の放射線治療なら50-100万円程度が目安です。ペット保険の加入も検討しましょう。

        

        
            Q4: 小型犬に多いと聞きましたが、大型犬は大丈夫？
            門脈シャントは確かに小型犬に多いですが、大型犬では肝内性シャントが見られます。また、脳腫瘍はゴールデンレトリーバーやボクサーなどにも多く、犬種を問わず注意が必要です。

        

        
            Q5: 完治する可能性はありますか？
            原因次第です。門脈シャントは手術により完治の可能性があります。脳腫瘍も種類によっては長期生存が期待できます。重要なのは早期発見・早期治療です。諦めずに獣医師と相談しましょう。

        

        
            ## 飼い主さんの声

            
            
                「うちのモコ（トイプードル・7歳）が突然壁に頭をコツコツ。最初は新しい遊びかと思って笑っていました。でも何か違うと感じてすぐ病院へ。門脈シャントでした。手術から2年経った今も元気に走り回っています。あの時すぐに病院に行って本当によかった」（東京都・40代女性）
            
            
            
                「深夜2時、リビングで変な音がして見に行くと、愛犬のジョン（ゴールデンレトリーバー・9歳）が壁に頭を押し付けていました。救急病院での検査で脳腫瘍が発覚。放射線治療を受け、1年半経った今も家族と幸せに暮らしています。諦めなくてよかった」（神奈川県・50代男性）
            
        

        ## 最後に伝えたいこと

        
        15年間、動物病院で多くの命と向き合ってきました。その中で学んだのは、飼い主さんの「いつもと違う」という直感の大切さです。

        ヘッドプレスは確かに恐ろしい症状です。でも、早期に気づいて適切な治療を受ければ、多くの子が元気を取り戻しています。私が見てきた症例の中には、10年以上元気に過ごしている子もたくさんいます。

        どうか、愛犬の小さなサインを見逃さないでください。そして何より、一人で抱え込まないでください。獣医師はあなたの味方です。一緒に愛犬の命を守りましょう。

        もしこの記事を読んで、「うちの子も…」と心配になったら、迷わず動物病院へ。それが、あなたの愛犬への最高の愛情表現なのですから。

        
            ## 参考文献

            
                - Head pressing. Wikipedia. Available at: https://en.wikipedia.org/wiki/Head_pressing (Accessed: April 1, 2025)

                - Head Pressing in Dogs: Causes, Diagnosis, and Treatment. PetMD. Available at: https://www.petmd.com/dog/symptom/head-pressing-in-dogs (Accessed: April 23, 2024)

                - 犬の門脈大循環シャントと肝性脳症. Purina Institute. Available at: https://www.purinainstitute.com/ja/centresquare/therapeutic-nutrition/portosystemic-shunts-and-hepatic-encephalopathy

                - 門脈シャント｜当院での取り組みと新しい治療法. 王子ペットクリニック. Available at: https://www.oji-pet.jp/case01.html

                - Brain Tumors in Dogs. VCA Animal Hospitals. Available at: https://vcahospitals.com/know-your-pet/brain-tumors-in-dogs

                - A retrospective survey on canine intracranial tumors between 2007 and 2017. J Vet Med Sci. 2020 Jan;82(1):77-83. PMID: 31776293

                - Clinical features, diagnosis, and survival analysis of dogs with glioma. J Vet Intern Med. 2021 Jul-Aug;35(4):1902-1917. PMID: 34043256

                - 門脈体循環シャント（Portosystemic shunt）. 相川動物医療センター. Available at: https://aikawavmc.com/specialize/?specializeId=52

            

        

        
            本記事はイヌラバ博士が編集した一般情報であり、個別の診断や治療に替わるものではありません。

            愛犬に異常が見られた場合は、必ず獣医師へご相談ください。

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本記事は一般的な情報提供であり、獣医師による診断・医療行為に代わるものではありません。急な悪化や強い異常がある場合は動物病院へ相談してください。
